ありのままとあるがまま④
第3章 あるがままのはじめは手放しから
―断捨離と手放しは似ているなあ―
今私は断捨離に凝っていて、どんどん物を分別して捨てています。先日は、文具がいっぱい入った箱をひっくり返しました。たくさんあるボールペンや消しゴムの中から1本ずつ、今の自分にとって必要なものだけを選びました。
1つの文具には同じものは選びませんでした。黒のボールペンならこの1本とか、消しゴムはこれとか、定規は15センチ1本とか・・・。服も書類も本も小物もどんどん断捨離しました。すると、物がすぐに出せるし、管理できるし、紛失や探し物が極端に減ってきた気がします。
断捨離の開発者、やましたひでこさんは話します。「物の中には、いつ買ったか知らず、もう長いこと使わないもの、人で言うとあたかも知らないおじさんがいる。また、『これはもったいないからとっときなさい。リフォームすればまだいけるよ』と物をため込むことを勧めるおせっかいなおばさんのようなものもいる。部屋にそんな人がたくさんいると狭くて気持ち悪い。人生でも出会った方ともったいないからといってすべてと付き合っていたら大変なことになる。でも人間は向こうのほうから別れてくれる時もあるので整理できるが、物は自分が決断しなければ別れられない。付き合うことのないものをどんどんため込むと自分の居場所がなくなる。ものに自分がコントロールされる窮屈な人生になる」
やましたさんは、次の段階が大切だと言います。
- まず逃避しないでものに向き合うこと。そして、受け入れ、受け止める。
- 潔い謝罪
- ありがとう、ごめんなさい、さようなら
私が、薦める「あるがまま」へのステップは、断捨離に似ている気がしました。さらにやましたさんはこう話します。「いらいらや不安のもとになっている、自分のとらわれ、縛りのような価値観と向き合って、断捨離すなわち手放すと、本来の自分の心にあるべき健全な価値観、強みがクリアになり、『あるがまま』に喜びと心の自由が手に入る」
「今ここにいる私」にとって不要な価値観に対して、勇気をもって断捨離する。不要な価値観をやましたさんは「精神的ゴミ」だと言います。まさしく私の言う執着を引き起こす価値観のことですね。
私の言葉の定義
●ありのまま
長所も短所も、過去の傷も成功も、すべてそのままの状態を指し示す。漢字では「有りのまま」と表すように、起こっている事実をいっさいの善悪基準で決めつけずにいること。すなわち、自分のことも相手のことも、起きている事象も自然も、事実のままに見ることです。
●あるがまま
漢字で「在るがまま」と書く。人間には、本来のあり方があり、個々の人間には個々の特性がある。人間の内にある宇宙、そして人間を囲む天と地と人の関係の中にある天からの宝を、そのまま認識できる存在になっていく。自分の中にある偽りを認識し、ありのままを受け入れてみると、本来の姿が立ち上がってきます。それをあるがままといいます。
●手放し
人をジャッジして分けへだてる私だけのルール、時には偏見とも色メガネとも言いますが、それに気付いてリリースし、リセットする状況を指します。行動から存在に移る瞬間です。
●自律
人は、生まれながらにして、家系の文化からくる価値観、社会の価値観、他者の価値観に縛られています。価値観に縛られると、気になる、恐れる、イライラするなどの行動にいびつさが表れます。高じると、許せない、恨む、憎む、呪うといったブラックな思いにコントロールされます。縛られた価値観に気付いて手放し、あるがままになって、自分の価値によって魂の自由を味わっていく生き方を指します。
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田路俊章(たじ・としあき)
1953年生まれ、大阪育ち。オーサカ・ユニーク株式会社前社長、ラジオ大阪「VIPアワー」パーソナリティー(2005年11月~07年3月)、経済産業省登録コンサルタント、CBMC理事(2000年、国家朝餐祈祷会を発起)、VIP関西発起人兼元副会長。2015年2月、経営と家族のコンサルタントとして株式会社家族授業を設立。