ローマ教皇フランシスコと国連児童基金(ユニセフ)のアンソニー・レーク事務局長が21日、ローマ教皇庁で会談し、教皇が設立した教育機関「スコラス・オクレンテス」とユニセフが5年間のパートナーシップを結んだと発表した。今後、スコラス・オクレンテスとユニセフは協力して、弱い立場にある若者たちが、市民として地域社会や世界に参加するために必要なスキル、情報、知識が取得できるよう支援していく。
教育の平和的改革を目指す教皇フランシスコは、スコラス・オクレンテスを通して教育に関するさまざまな取り組みを連携させていきたいとコメント。「子どもや若者の教育に携わる者たちが皆力を合わせることができれば、教育は変えられる」と語った。
レーク事務局長は、青年期はリスクが多い一方で、多くのチャンスがある重要な年代だと指摘。「お互いが協力して、共通の問題を解決することを学ぶことで、自身のよりよい将来を築けるだけでなく、世界のよりよい未来に貢献できる市民として成長できる」と語った。
こうした取り組みは、紛争下にある国々において特に重要視される。若者たちが民族、人種、宗教を越えて共に活動することは、世代から世代へ続いてきた暴力のサイクルを断ち切り、社会構造の強化の実現につながると、ユニセフは説明している。
今回の5年間のパートナーシップでは、特に発展途上国における弱い立場の若者たちに焦点を当て、技術やスポーツ、芸術に触れる機会を拡大させる。自分自身や他者を取り巻く世界について共に学ぶ機会を提供し、そこに参加できるようにすることで平和構築の基盤を作り上げていく。
具体的には、スコラス・オクレンテスのネットワークとユニセフのオンラインスペース「ボイス・オブ・ユース(Voices of Youth)」の連携や、既に50万人の若者が参加しているというSMSを利用したユニセフのシステム「U-report」に、スコラス・オクレンテスのメンバーも参加できるようにする仕組み作りが計画されている。
その他にも、両者は今年7月に米ロサンゼルスで開かれる「スペシャルオリンピック・ソーシャル・インパクト・サミット」との協力も予定している。今後さらに、若者に焦点を当てた国や地域、コミュニティーにおけるスポーツイベントや、社会運動と協力する機会を作っていく考えだ。
「スコラス・オクレンテス(Scholas Occurrentes)」は、ラテン語で「出会いの学校」を意味し、教皇フランシスコがアルゼンチンのブエノスアイレス大司教時代に自ら推進した教育ネットワーク。宗教や公立・私立にかかわらず、世界で40万の学校および教育ネットワークとつながっている。