米CNNの報道によると、過激派組織「イスラム国」(IS)は、北アフリカのリビアの病院から拉致した外国人医療従事者20人を、条件付きで解放した。
医療従事者たちは、リビア北部の都市シルトのイブンシナ病院が襲撃された際に拉致された。同病院の職員によると、拉致されたのは主にフィリピン出身者で、他にはウクライナ、インド、セルビアの出身者もいるという。CNNは、医療従事者たちを首都トリポリへ脱出させるためのバスが待機している間に、銃を持った男30人以上が病院を襲撃したと報じている。
しかし、病院職員が17日までに語ったところによると、ISは拉致した20人をシルトにとどまることを条件に病院近くの自宅に帰した。ISのメンバーの治療に応じる限り、身の安全を保証するとしているという。
拉致された医療従事者たちは現地の治安状況が悪化したため、シルトを去ろうとしていたところを拉致された。病院職員によれば、ISは彼らが負傷した戦闘員を唯一治療できるため、シルトにとどまってほしいと望んだという。
シルトは、2011年にリビア国民評議会軍によって、拘束され、殴られた上で銃殺された独裁者ムアンマル・アル・カダフィ大佐の最終拠点だった。
先月、リビアで21人のエジプト人コプト教徒を殺害したISは、すでに昨年シルトを制圧している。リビアの混乱した治安情勢は、カダフィ大佐の敗北以降、現地が政治組織ごとの統治に分裂してしまっていること、またさまざまな武装勢力が戦闘を繰り広げていることを反映している。この状況が、現地でのISの台頭を許してしまった背景にあるとみられている。