3月から世界福音同盟(WEA)の新総主事として任期がスタートしたエフライム・テンデロ監督が米クリスチャンポスト(CP)のインタビューに応え、WEAの将来の目標や米国のクリスチャンの役割、また過激派組織「イスラム国」(IS)の問題などについて語った。
WEA国際評議会によって1月、満場一致で選出されたテンデロ総主事は、それまで約20年にわたってフィリピン福音同盟(PCEC)の総主事を務めてきた。また、PCECの救援開発部門であるフィリピン救援開発奉仕(PHILRADS、フィルラズ)の会長も務め、アジア福音同盟(AEA)でも東南アジア国際ファシリテーターとして奉仕してきた。世界約6億人のプロテスタント福音派を代表する国際組織であるWEAは、本部を米ニューヨークに置くが、テンデロ総主事は5年間の任期中、海外出張などを除き、母国フィリピンで任務をこなす予定だ。
テンデロ総主事はインタビューで、WEAの将来の目標について、ネットワークの強化と宣教の焦点化を挙げた。米国のクリスチャンについては、米国がこれまで担ってきた宣教の働きを評価する一方、現在は他国のクリスチャンとパートナーシップの関係にあるべきだと語った。またISによる迫害については、信教の自由・人権問題として国連に働きかけているとし、「暴力に暴力で応じない」姿勢を訴えた。
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CP:WEAの将来の目標は何ですか。また、どのようにそれを達成しよと考えているのか、計画をお聞かせください。
テンデロ総主事:一番に、われわれのネットワークを強化したいと考えています。われわれはすでに強固なネットワークを持っていますが、より躍動的な組織にするための余地は残っています。二番は、何がしたいか、何を届けたいか、われわれの宣教はどうあるべきかについての焦点をしっかりと絞ることです。ネットワークを強化し焦点を絞れれば、国際的な福音派組織として、われわれの行動が与える影響を最大化することができるはずです。
CP:米国のクリスチャンは、どのように世界の他の地域を祝福できるとお考えですか。また今日、米国のクリスチャンは世界の他の国に住むクリスチャンから何を学べるとお考えですか。
テンデロ総主事:ある意味では、過去に米国で起きたリバイバルがエネルギーの源となり、宣教師を前進させる火となりました。そして素晴らしい宣教師たちの運動は、実に米国から世界の他の国へと広まったのです。現在に至るまで、われわれは米国から東へ西へ、そして世界の他の国へと派遣される男性また女性の宣教師に多く出会います。それが米国がもたらした一番の祝福です。ですから、神がこの国を世界で最も豊かな国として祝福されましたし、宣教師や信徒の働きが同様の方法で世界の他の国でも取り入れられ、支援されています。
しかし、開拓しまた宣教が拡大していった結果、現在では世界の他の国もまた成長しています。ですから、私が考える次の段階はパートナーシップというレベルです。以前は米国のクリスチャンは新しい働きの親、または開拓者として来ましたが、今では彼らが設立した教会も成長しています。われわれは成長する関係を持ち、パートナーシップという次のステップに進む必要があります。親子関係ではなく、友人関係のようなものです。米国のクリスチャンには、世界をパートナーとして、宣教において平等の立場として見てほしいと考えています。
CP:中東におけるISによる現在の迫害について、考えをお聞かせください。WEAはこれまで、中東で迫害に遭うクリスチャンを支援する活動に対しては控えめでした。WEAが祈り以外の方法によって、ISによって排斥され、斬首されているクリスチャンを助けるために介入していたら、どうだっただろうかと考えています。
テンデロ総主事:われわれには、信教の自由委員会があり、そこを通して国連での席と発言権を持っています。この宗教的迫害の問題を、人権問題として提示しています。世界人権宣言には、表現の自由と信教の自由、そしてそれらの基本的自由権の中に個人の宗教を表明する自由も規定されています。ですから、われわれは全ての人が自分の信条と信念を表現できる自由を持つこと、まただからこそ迫害が軽視されるべきではないことを伝えるために、このことを国連に持ち込んだのです。
CP:欧米諸国の中流階級・富裕層の外国人が、ISに参加しています。何が人々を過激派へと向かわせるとお考えでしょうか。また、その理由は何でしょうか。
テンデロ総主事:恐らくその中には、イデオロギー的にそうした立場を取るため、ISへ深く関与する人もいるでしょう。すると、私の答えとしては、われわれ皆がキリスト教の信条をより強く持つべきだということになります。では、どのように暴力に立ち向かうのでしょう。われわれは暴力に暴力で応じません。暴力には、お互いの関係を良くすることに自らをささげたイエス・キリストのように、平和の行い、愛の行いで応じます。ですから、暴力を信奉する人々に対して、私の召命でありわれわれの回答は、互いを敬うこと、尊厳と調和を持って共に生きることであるべきです。われわれは皆、神の形に造られたものだからです。全ての人の人生に、神の面影があるということが重要です。ですからわれわれは、互いに平和的で調和的な関係を築くことが必要なのです。