パキスタン東部の都市ラホールにある2つの教会で15日、自爆テロとみられる爆発が相次いであり、少なくとも10人が死亡、55人以上が負傷した。地元警察によると、一つはプロテスタント教会で、もう一方はカトリック教会。両教会は近くに位置しており、日曜日であったため共に礼拝・ミサの最中だった。ロイター通信が伝えた。
同通信によると、同国の反政府武装勢力「パキスタン・タリバン運動」(TTP)系のグループである「ジャマート・ウル・アハラル」が犯行声明を出した。一方、警察によると、事件に関与したとみられる男2人が住民から火を付けられ死亡したという。
「爆発の衝撃でこの辺りが揺れたとき、教会の近くの店で座っていました。店に逃げ込みましたが、警備員が教会に入ろうとしている男ともみ合いになっているのを見ました。男は入るのに失敗すると、自爆したのです」と、目撃者のエイマー・マシフさんは同通信に語った。マシフさんは、爆発で男の体が飛び散るのが見えたと言い、警備員も死んだと話している。
救急隊の担当者は「救出活動は現在も行われており、死者数は増加する可能性がある」と話している。一部メディアは、死者は少なくとも14人、負傷者は約70人と伝えている。
インドとの国境に近いラホールはパンジャブ州の州都で、同通信によると、同国では最も裕福で人口の多い州であり、ナワズ・シャリフ首相が拠点としている州。同国内の他の地域に比べて安全だとされているが、政府が武装勢力との和平交渉に失敗してから、暴力が増加しているという。
交渉が失敗したあと、軍は反政府勢力が支配する最後の地域である北西部ワジリスタンへ対する攻撃を開始。軍は現在、同地域の主要拠点を掌握しているというが、地元住民によると、攻撃が始まる前は多くの兵士が逃亡し、今も一部は農村地域に残っているという。
ワジリスタンの東に隣接するカイバル・パクトゥンクワ州の州都ペシャワールでは昨年12月、陸軍の公立学校に対する襲撃があり、生徒130人以上を含む約140人が殺害された。また、2013年にはペシャワールにある教会で自爆テロがあり、80人以上が死亡した。