パキスタン東部パンジャブ州のラダキシャン村の近くで、妊娠中のパキスタン人女性シャマ・ビビさんと、彼女の夫シャーバズ・マシーさんの殺害に関与したとして4日、40人以上が逮捕された。
夫婦は、イスラム教の聖典であるコーランを燃やしたとして非難を受け、暴徒により襲撃され、レンガ窯の中に生きたまま投げ込まれた。
この襲撃には総勢4千人もの人々が加担したとみられ、うち44人は事件翌日に殺害の容疑で逮捕された。17日、パキスタン当局は、すでに逮捕されている人々の中から、2人の男性をこのグループの指導的立場にあったと特定したと発表した。
殺害された夫婦の友人は、夫婦が燃やしていたのは、彼らの亡くなった親戚の書類であり、コーランからページを破ってはいなかったと報告している。
パンジャブ州のシェーバズ・シャリフ首相は、ビビさんとマシーさんの殺害に関する調査を命じ、また、キリスト教徒が多い地域に、より高い警戒態勢を敷くことを求めた。
パキスタンのジェームズ・チャナン神父は、今回の事件に関し、人々が同国の冒涜(ぼうとく)法を極端に曲解していると非難した。冒涜法は、イスラム教の預言者ムハンマドの名誉棄損およびコーランの冒涜を禁止する同国の法律。
「多くの場合、これらの法律が、やっかいなもめごとなどにおいて個人的な恨みを解決するために利用されてきました」と、チャナン神父はカトリック団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN)のウェブサイトでこう述べている。「いずれにせよ、一体正気な人がコーランのページを焼き、預言者ムハンマドの尊厳を侮辱することができるでしょうか」と言う。
チャナン神父は、宗教的少数派は、偏見から生じる迫害とえん罪を最も受けやすいと指摘する。
「パキスタンで、一度個人が命を取られるようなことが起きてしまった以上、これらの法律はとても危険であり、(法律を正しく理解することが)不可能となってしまいました」とチャナン神父。「裁判所が、最終的に個人の無実を宣言したとしても、過激なイスラム教徒による殺人が繰り返される恐れがあります。彼らの間では賞賛に値する行為と考えられているからです」と説明する。