キリスト教徒であるアーシア・ビビさんの死刑取り下げを求めるオンライン署名が28日の時点ですでに27万人を超えた。
パキスタンの裁判所は先々週、ビビさんに対し冒涜(ぼうとく)罪で死刑を言い渡した下級審の判決を支持する判断を下した。これが、同国で迫害に苦しむキリスト教徒の抗議を駆り立てている。
同僚と討論になった際、ビビさんがイスラム教の預言者ムハンマドを侮辱したとして同僚が非難したことで、ビビさんは2010年に冒涜罪で死刑判決を受けていた。
ビビさんの弁護団は、今回の判決を不服として上告するとしており、彼女が処刑されるかどうかは最高裁判所の判断に委ねられることになる。今のところ、パキスタンで冒涜罪により死刑判決を受け、刑が執行された人は一人もいない。
「アーシア・ビビさんを救おう」(#SaveAsiaBibi)という署名運動を始めたのは、エミリー・クラルケさん。スーダンのキリスト教徒、メリアム・イブラヒムさん(現在は米国に移住)を支援する「メリアムさんを救おう」(#SaveMeriam)という署名運動を始めて、100万人を超える署名を得たのと同じ人だ。
英デイリー・メール紙は先週、ビビさんの2人の若い娘であるイシャム・マシーさんとイシャ・マシーさんが、ビビさんの告発を指導したのと同じ宗教の狂信者たちによって虐待を受けた、と伝えた。
2人が同紙に語ったところによると、ビビさんに対する最初の申し立てがなされたとき、怒った村人たちが彼女たちの家に現れて、ビビさん一家を殴り、ビビさんの服を引きちぎることさえしたという。
現在14歳のイシャムさんは、同紙にこう語った。「私は今でも母が拷問を受けて逮捕された日の夢を見ることがあります。よく眠ることができませんでした。怒った男の人たちが戻ってきて私たち2人を拷問し始め、母の衣服をまた引き裂いたのです」
「彼らは母を村の中心部まで引きずっていきました。私たちは2人とも泣いていましたが、私たちに耳を傾けてくれる人は誰もいませんでした」と彼女は付け加えた。
「1時間半ぐらい後に、警察がやって来て、母が叔父の家で隠れていた父を見つけに行くようにと私に頼みました。でも父はあまりにも恐ろしくて離れることができませんでした。私が走り戻ったら、その時までに警察は私の母を連れ去っていたのでした」
この冒涜法により、パキスタン国内のキリスト教徒は危険な状況にさらされている。人権団体によると、これらの法律はキリスト教徒を迫害したり、個人的な争いを解決したり、彼らの財産を没収するために、誤って適用されることが多いという。
冒涜を理由にキリスト教徒が非難される場合、暴徒たちによる脅しのために、行方をくらまさなければならないことが多い。裁判所で無罪とされたキリスト教徒でさえも、命を脅かされるため、釈放直後に行方をくらまさなければならないという。
ビビさん擁護のために声を上げ、明確な態度を示していた政治家2人が、2011年には暗殺された。パンジャブ州知事のサルマン・タッセル氏は、自らの護衛によって殺され、シャバズ・バッティ少数者担当大臣はパキスタンのタリバンのメンバーによって殺された。
先月には、ある警察官が、パンジャブ州北部の都市ラーワルピンディーの刑務所で冒涜罪で投獄されていたキリスト教の牧師であるザファール・ブハッティ氏を射殺した。
ブハッティ氏は、預言者ムハンマドの母親について侮辱的な発言を携帯電話のメールで送ったという理由で2012年に告発されたが、ブハッティ氏の家族は、警察の取り調べによって携帯電話が他の誰かに登録し直されることが分かったと話している。
同じく冒涜罪で1月に死刑判決を受けたエジンバラ出身で70歳のムハンマド・アスガールさんも、この際に負傷している。
アーシア・ビビさんの死刑取り下げを求める署名はこちらから。