「後藤健二さんのいのちを守ろう緊急祈念集会」が27日、「平和をつくりだす宗教者ネット」の呼び掛けにより、衆議院第二議員会館第二会議室で行われた。
宗教者ネットは、「殺さない、殺させない」という祈りのもと、宗教を超えて平和のために祈り、行動する団体。今回集まったのは、仏教関係者、プロテスタント、カトリックの牧師、神父、信徒ら約50人。集会では黙祷の中、それぞれのスタイルで祈りをささげた。呼び掛け人でクリスチャンの鈴木伶子さんは、「一昨日の礼拝後、後藤さんのために何ができるのかと皆で話し合った。われわれ宗教者の一番の力は『祈り』ではないか。宗教を超えて皆で後藤さんの無事を祈りたい」と語った。
日蓮宗日本山妙法寺の僧侶は、「宗教は違えど、われわれが同心になって祈れば、われわれの一善は世の中の悪よりも勝る。『一善』とは、平和を願う心、人の命を大切にすることではないか」と語った。また、カトリックの司祭は、「後藤さんがシリアに向かう前に残した映像の中で、彼はしっかりと日本国のパスポートを見せている。日本国のパスポートを持つものは、その身分が保証され、世界中どこにいても日本国の政府がその命を守るべきでは?」と強い口調で話した。
集会には、野党の衆議院議員も姿を見せた。吉田忠智社民党党首は、「安倍政権の今回の対応については、不満もたくさんある。言いたいこともたくさんあるが、今はそんなこと言っている場合ではない。社民党は、後藤さん解放のための協力は惜しまない」と語った。同じく福島瑞穂副党首は「政府も力を尽くしている。われわれはとにかく祈り、その思いを発信していきたい」と語った。共産党の紙智子参院議員は、「とにかく後藤さんを家族のもとへ。早期解放を訴えていきたい」と話した。
集会の後、首相官邸前に場所を移し、祈念行動を行った。集会には間に合わなかったが、東京モスク(東京ジャーミイ)からも2人のイスラム教徒が参加。「イスラムの教えでは、人を殺してはならない。今、拘束されている2人は無実だ。絶対に殺してはならない。早く解放して、家族のもとへ帰すべき。アラーの命令に従ってほしい」と力強く訴え、その後、祈りをささげた。
続いて、プロテスタントの牧師が旧約聖書のイザヤ書を朗読し、共に祈った。カトリックの司祭は「解放の祈り」をささげ、僧侶は「お太鼓」を打ち鳴らしながら、南無妙法蓮華経を唱えた。興味深いのは、さまざまな宗教者が祈りをささげるとき、他の宗派の宗教者たちも目をつむり、共に祈っているといいうことだ。皆が心を合わせて、後藤さんの解放を祈る時となった。
最後に参加者全員で首相官邸に向かい、「後藤健二さんの命を救ってください!」「後藤健二さんを救ってください!」「後藤さんの訴えに全力で応えてください!」と大声で訴えた。