日本時間の24日深夜、ユーチューブ上にイスラム教過激派組織「イスラム国」によるとみられる音声付きの画像が投稿された。画像では、イスラム国に拘束されている後藤健二さんとみられる男性が、同じく拘束されている湯川遥菜(はるな)さんとみられる男性の写った写真を持っており、英語の音声は湯川さんが殺されたことを伝えている。
NHKなど国内の主要メディアが一斉に速報で伝え、菅義偉官房長官は25日未明、緊急の記者会見を開き、「湯川遥菜氏が殺害された写真を持つ後藤氏の写真がインターネット上に配信された。このような行為は言語道断の許し難い暴挙であり、強く非難する。残る1名の後藤氏に危害を加えないよう、直ちに解放するよう強く要求する」(NHK)と述べた。
また、安倍晋三首相も「現在、あらゆる外交ルート、手段を尽くして、解放に向けて取り組んでいる。その中で、湯川氏が殺害されたとみられる写真がインターネットに配信された。家族の心痛は察するにあまりあり言葉もない」「このようなテロ行為は言語道断であり許し難い暴挙だ。強い憤りを覚える」(同)と述べ、イスラム国を強く非難。後藤さんの早期解放に全力で取り組む考えを強調した。
NHKによると、政府はこの画像と音声の信ぴょう性の確認を急いでいるという。後藤さんとみられる男性は、20日に公開された映像と同じ、オレンジ色の服を着せられ、両手には手錠をはめられ写真を持っている。音声は英語で、「I am Kenji Goto Jogo(私は後藤健二)」と話しているが、本人のものかは不明。後藤さんと交流のあるフリージャナーリストの安田純平さんはNHKの取材に対し、「これまで報道やインターネット上に出ていない後藤さんの情報に触れているし、音声は本人の声のようにも聞こえる」と話している。
イスラム国はこれまで2億ドル(約230億円)の身代金を求めていたが、音声は、後藤さんの解放と引き換えにヨルダンで収監されている同胞の釈放を求めている(関連記事:イスラム国の新声明全文:後藤健二さん解放と引き換えに同胞の釈放求める)。