SIGNIS JAPAN(カトリックメディア協議会)による第20回「教会とインターネットセミナー」が13日、東京・四谷の聖パウロ会若葉修道院ホールで行われた。「Facebook で福音を伝える」をテーマに、カトリック信徒や修道者ら約50人の参加者が、ソーシャルメディアを使った福音宣教の意義について分かち合い、学びを深めた。
SIGNIS JAPAN は、放送や映画、インターネットなどのメディアを用い、キリストの良い知らせ(福音)を広めたいと活動している、カトリックの司祭と修道者、信徒らの団体。世界的には2001年に教皇ヨハネ・パウロ2世(当時)の強い思いで、それまであった2つの組織をSIGNISとして統合。それ以前を含めると80年を超える歴史がある。本部はベルギーのブリュッセル。バチカンの教皇庁広報評議会の下でローマに技術サービスセンターを持つほか、全世界140カ国に支部がある。
SIGNIS JAPAN による「教会とインターネットセミナー」は、インターネットによる福音宣教について考えるため、2003年から毎年2回ほどの割合で開催されている。20回目に当たる今回は、テーマを「フェイスブック(Facebook=FB)」 というソーシャルメディアに絞り、その効果的な福音宣教を実例に見る形式で行われた。
はじめに、清泉女子大学講師で、SIGNIS JAPAN ではインターネット部門の代表を務める土屋至さんが講義を行い、「ソーシャルメディアを読み解く5つのキーワード」として、リアルタイム(速報性・伝搬力)、共感・協調(感情や思考の共有)、リンク(具体的行動の促進)、オープン(参加や離脱が容易)、プロセス(透明性・興味喚起)を挙げ、「ソーシャルメディアを通じて、生き方を分ち合うことへの招きができる」と強調。「できるだけクリスチャンでない友達を増やす」「自分が今していること、関心を持っていることなどを幅広く発信する中に、聖書の話やキリスト教的福音的なメッセージを盛り込む」「日常の出来事の中で、これはぜひ友達と分ち合いたいという内容を見つけ、発信する」など具体的な実践法を提案した。
セミナーはこの後、参加者に、フェイスブックを「これから使う人」「もっと上手に使いたい人」「福音を伝えるための使い方をもっと知りたい人」の3グループに分かれてもらい、グループごとのやり方で学び合う形で進められた。
このうち、福音を伝えるための使い方をもっと知りたい人のグループでは、既に普段からある程度フェイスブックを使いこなしている人が多く、各自がどのように活用しているかについて分かち合いを深めた。
信徒からは、「福音を伝える、というとおこがましいが、私がFBをやっているのは『ありがとう』を言いたいから」「FBをやり始めてから、それまでミサで会っても、こんにちは、さようなら、の会話だけしかなかった教会の人たちと親しい友達になれた。これも福音宣教の一歩では、と感じる」といった思いが語られた。
一方、シスターたちからは「福音宣教をやるんだ、という心構えではやってない。一人のシスターがまたヘマをして、とありのままの日常を書くことで、自分自身も楽しんでいる」「御言葉を伝えるのは神父さま方にお任せしている。ただ、きょうはこんなに落ち込んだけど、あの御言葉を思い出して気分が上向いた、とかぐらいは書くことも。あとは修道院で金柑ジャムづくりをしたことなどをアップすることで、私たちの生活を身近に感じてもらえればいいなあと思う。それに対して共感してもらえることが、それぞれの召命につながると思う」といったシスターらしい言葉が聞かれ、それぞれに共感しながら話を進めた。
また、ソーシャルメディアのはらむ危険性への対処の仕方については、危険を100%回避することはできないこともあり、「ある意味、覚悟を持って投稿する」ことの必要性を今一度確認する場面も。さらに本当の意味でフェイスブックを福音宣教につなげようとするとき、「どうやってFBの中に主イエス・キリストが受肉していくかが課題では」と問い掛ける人もあり、それぞれがあらためてフェイスブックの使い方について思いを深めた。
セミナーは最後に、聖パウロ修道会の井出口満ブラザーが「FBの中にも絶えず主がいてくださることを感じながら、祈りましょう」と呼び掛け、参加者全員で主の祈りを唱えて閉会。懇親会も開かれ、フェイスブックでもつながった信徒とシスター、ブラザーらが実際に一つの食卓を囲んで親睦を深めた。