ドウェイン・ブラック牧師は、仲間のマーク・シムズ牧師や90歳のアーノルド・アボット氏らと共に、米フロリダ州フォートローダーデールで、貧しい人たちやホームレスの人たちに食事を与えて逮捕されたことで、今週話題の的となった。ブラック牧師はホームレスに食事を与える自らの召命について、米クリスチャンポスト紙に語った。
ブラック牧師とシム牧師、そしてアボット氏は2日、同市内にある公共の場所でホームレスに食事を与えて全員逮捕された。そのわずか2日前に、ジャック・セイラー市長は、同市の制限範囲内で人の集団に食事を与えることを制限する新しい法律に署名し施行させていた。しかし、この3人の男性は自らの地域社会の貧困問題を考え、たとえそれが法的問題になることを意味したとしても、行動を起こすことに決めた。
「私たちが6人か7人ぐらいの人たちに食事を与えたら、警察が近づいてきました」とブラック牧師は語った。「実は私たちはお祈りをして、それからそのホームレスの人たちに配餐をしたのです。もし彼らに食事を与えることで私が逮捕されたら、私が彼らに配餐をしたことで逮捕されたことにしてくださいと。警察は脇にとどまっていましたが、しかし突然前進してきて、それでアボット氏と私はそこにとどまっていました」
ブラック牧師は続けこう語った。「私たちはホームレスの人たちが逮捕されてほしくなかったのです。結局、私たちはみんなに食事を与え、片付けを始めました。正直、警察は私たちをその晩に釈放してくれるだろうと思っていましたが、けれども彼らは立ち去り、そして報道陣が私たちを囲みにやって来ました。私は警察のところに行ってこう言いました。『彼(アボット氏)を召喚するなら、私も召喚してくれ』」
「彼らは、『われわれはあなたを召喚したくはない』と言いました。私にはなぜだか分からないのですが、——恐らく私が聖職者だからでしょうか——けれども彼らは結局私を召喚したのでした。そして、私たちは日曜日とそれから水曜日にも(ホームレスの)人たちにまた奉仕をしに戻ります。私たちは警察にこう説明しようとしました。——これは私の宗教ですが——これは私のキリスト教会のDNAの奥深くにあるのです。キリストは『私の羊を養いなさい』と言われました。これが私たちの心の奥深くにあるのです」と、ブラック牧師は付け加えた。
世界中の人たちがブラック牧師やアボット氏、そしてシム牧師への支持を呼び掛け、声を上げている。アボット氏の名前で擁護基金が設立され、容疑の取り消しを求める人々が署名する請願がオンラインで投稿された。
「それは簡単な問題ではなく、すでに明白だというわけでもありませんが、でもすでに明白なのは、人はお腹がすいたときに食べてもよいはずだということです」と、シムズ牧師は米フォックス・ニュースに語った。また、「信仰者たちは、欠乏のうちにある人たちに手を差し伸べずにはいられないのです。私たちはこの問題をただ遮断してしまうよりも、むしろ解決するためにもっと懸命に働く必要があるのです」と語った。
市長はこの条例を擁護し、そして警察も今回の状況における自らの行動を擁護して、3人とも皆法律に違反したと説明している。
「この条例は、ホームレスの人たちに食べ物を合法で清潔かつ安全に配ることを認めています。例えば、もし牧師、司祭や聖職者が自分たちの建物でホームレスの人たちに食べ物を提供したいのであれば、またこの条例に列挙されているような適切な施設が用意されているのであれば、そうすることができるのです」と、フォートローダーデール警察署のデアンナ・グリーンロー刑事は、フォックス・ニュースに語った。
なお、クリスチャンポスト紙などが6日に報じたところによると、ホームレスの人たちに食べ物を与えて逮捕されたアボット氏は、逮捕から24時間後に同じ容疑で再逮捕された。「私は父なる神を信じ、人類の兄弟愛を信じています」とアボット氏は語ったという。