ナイジェリア連邦政府は17日、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」との停戦に合意し、拉致された200人を超える女生徒たち(その多くはキリスト教徒)が解放されることを発表した。
ナイジェリアの空軍大将であるアレックス・バデー氏は、いまだに囚われている219人の女生徒たちは「生存中で元気」であり、いずれ解放されるだろうと述べた。その名前が「西洋の教育は罪」を意味するボコ・ハラムは、4月に女生徒たちを拉致し、国内外から非難を浴びていた。
しかしその後も政府軍兵士とボコ・ハラムの衝突による殺害事件が起きている上、ボコ・ハラム側はこの発表について沈黙しており、この合意と解放の発表を疑問視する声が出てきている。ナイジェリアの報道の中には、この合意と解放をめぐってボコ・ハラムの内部で賛否両論があり、ボコ・ハラムが分裂していると指摘するものもある。
ボコ・ハラムを非難してきたナイジェリア・キリスト教協会(CAN)の元幹事で北部州キリスト者長老フォーラム(NOSCEF)のメンバーであるジョセフ・ハヤップ牧師は、ナイジェリア北部のキリスト教徒は政府が発表した停戦合意を祝うことはないだろうと述べた。ナイジェリアの英字紙「ザ・ガーディアン」電子版が19日に報じた。
CANの関連組織であるNOSCEFは17日、ツイッターで停戦合意に達し、女生徒たちが解放されると政府が発表したことに関する国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」からの情報をリツイートしたものの、その後は何も更新していない。
一方、同国の英字紙「デイリー・タイムズ」が20日に伝えたところによると、女生徒らの拉致事件が起きた北東部のボルノ州では、CANボルノ支部がナイジェリア連邦政府に対し、ボコ・ハラムとの停戦合意を継続するよう助言したという。
同支部はナイジェリア労働会議(NLC)や国連人口基金(UNFPA)と共に、拉致されたボルノ州チボク村の女生徒たちの無事生還を確実にするために必要なことをするべきだとして、停戦合意を支持したと、同国英字紙の「ジス・デイ・ライブ」電子版が21日に伝えた。
同紙が同日伝えたところによると、ナイジェリア東部のアダマワ州カラアでは、CANの会長であるタタミ・エルカナ牧師と同地域のイスラム教徒協議会の会長であるアブバカル・クニリイ氏が、ボコ・ハラムの攻撃を逃れた国内避難民を代表して救援物資を受け取りつつ、同地域に救援物資を提供してくれたことに対し、ナイジェリアのグッドラック・ジョナサン大統領に感謝の意を表したという。
また、ボコ・ハラムを非難してきたナイジェリアのイスラム教徒の組織であるナイジェリア・イスラム最高評議会(NSCIA)のイシャク・オロイェデ事務総長は、「国連はボコ・ハラムのナイジェリア版」を調査すべきだと述べた。ナイジェリアの英字紙である「デイリー・トラスト」電子版などが20日に報じた。
一方、拉致された女生徒たちの無事帰還を求めるフェイスブック上の国際的な英文コミュニティ「Bring Back Our Girls(私たちの少女たちを取り戻せ)」は、停戦合意と女生徒解放に関する政府の発表を伝えながらも、拉致されてからの日数を数え続けており、それによると23日で191日目となった。このコミュニティに「いいね!(Like)」をした人たちは23万人を超えている。
なお、英国では18日、ナイジェリアの女生徒たちのために祈ろうと、聖公会のジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教を含む4万人のキリスト教徒が集まったと、英国クリスチャントゥデイが20日に報じている。