胎児の人権宣言
胎児に代わって、胎児に本来与えられている生存権(人権)を主張し宣言するために、1991年4月25日から27日まで、東京で国連NGO国際生命尊重連盟(International Right to Life federation)が主催する「国際生命尊重会議東京大会」が開催されました。日本の「小さないのちを守る会」(Pro-Life Japan)からも代表者を送り、人類最後の人権といわれる「胎児の人権宣言」が採決され、世界に向かって「胎児の人権」を宣言しました。
前文に「人間ひとりひとりが、受精の瞬間から自然死に至るまで、生来の尊厳と固有の価値を有するものである」とうたい、6ケ条の宣言の結びに「我々はすべての国際団体、政府、組織、ならびにすべての善意の人々が、ここに含まれる各箇条を公認し、実行するように強く奨める」と訴え、宣言しました。この大会で採決された「胎児の人権」は、国情や宗教、また歴史や文化を超えた、人間本来に与えられ、認められるべき普遍的なものです。
すなわち、胎児は受精の瞬間から人間であり、人権を有し、そして、この人権は犯してはならず、また犯されてはならないものです。また、胎児に生きる権利があり、この胎児への加害行為の禁止を、社会および政治に訴えて、必要な律法を促すことが本宣言の骨子であり、国際レベルの宣言です。
優生保護法を世界に先駆けて作り、世界を驚かせた日本です。その日本で、「胎児の人権」が高らかに宣言され、4月27日が「世界生命の日」となりました。この6箇条からなる胎児の人権宣言は、「東京宣言」として歴史的な意義をもって世界に発信されました。
この「胎児の人権宣言」は、胎児の、そしてすべての生命の尊厳の原点であり出発点です。世界から中絶天国といわれた日本において、この宣言が日本から発せられたということの意味と、その使命をかみしめながら、この宣言を生命尊重の記念として、日本にそして世界に「小さないのち」が尊重される日の到来を促進しなければなりません。
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胎児の人権宣言
前文
人間ひとりひとりが、受精の瞬間から自然死にいたるまで、生来の尊厳と固有の価値を有するので、今日我々は公に以下の6ケ条の宣言に同意する。
第一条
我々は、胎児ひとりひとりが、受精以後の発育のすべての段階において、人間であるという科学的事実を確認する。
第二条
我々は、本宣言に定められている権利を、人種、胎児齢、性別、国籍、宗教、社会-経済的出自(生まれ)、障害の有無、その他のいかなる理由によっても差別することなく、尊重する。
第三条
我々は、胎児が、1948年の国連の人権宣言に述べられている胎児以外のすべての人間の基本的権利と同様の権利を有することを確認する。我々は、この権利が立法によって認められることを要求する。
第四条
我々は、胎児ひとりひとりが良好な胎内環境で発育する権利を有することを認める。この環境には出産までの母親の適切な保護と両親への支援を求める権利が含まれなければならない。
第五条
胎児が、受精の時から、科学的、医学的、または医学的実験や利用に供されない権利を有することを確認する。ただし、この実験や利用が胎児に直接役立つ場合を除く。
第六条
我々は、胎児の発育とそれに関する諸問題についての科学的事実の教育の推進に努める。また我々は、女性が子供を産み育てるのを難しくしている社会的、経済的ならびに法律的諸条件の改善に努める。
結 び
以上にかんがみ、我々はすべての国際団体、政府、組織、ならびにすべての善意の人々が、ここに含まれる各箇条を公認し、実行するように強く奨める。
1919年4月27日東京
「国際生命尊重会議東京大会」
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辻岡健象(つじおか・けんぞう)
1933年生まれ。大学卒業後、7年間ビジネスマンとして実業界で活躍。神学校卒業後、20数年間牧師として奉仕。現在、いのちの尊厳を標榜し全国に3000人余の会員を有する「小さないのちを守る会」代表。特に現代のいのちの軽視と性の乱れに痛みをおぼえ戦いながら、中・高・大学、PTA、教育委員会、公民館、病院、ロータリークラブ、VIP、教会、各キャンプ等で講演活動。新聞雑誌等に寄稿し、テレビにも出演して現代社会における「いのちと性」のあり方について訴える。未婚女性妊娠問題等にも具体的な援助。中学・高校教員免許資格取得。教育学博士。著書に『小さな鼓動のメッセージ』他。趣味はスキー、マジック、腹話術。
■ 外部リンク:「小さないのちを守る会」ホームページ