【CJC=東京】教皇フランシスコが、キリスト者は、かつてユダヤ人が経験したのと同様な「残酷な攻撃」にあえいでいる、とユダヤ教関係団体指導者の代表40人に語った。
RNS通信によると、「世界ユダヤ人会議」(WJC)のロナルド・S・ローダー議長が明らかにした。
ローダー氏は化粧品業界の巨大企業エスティー・ローダー創業者の一族で資産家、美術品コレクター、フィランソロピスト(慈善事業家)として知られる。
ローダー氏らは17日、ユダヤ教の新年「ロシュハシャナ」を控えて、バチカン(ローマ教皇庁)内の教皇宿舎で教皇と会見した。
ローダー氏は18日、記者団にWJCと教皇は、中東でのキリスト者に対する武力攻撃を非難することで「完全に合意」し、教皇が迫害をユダヤ人に対するものに匹敵すると語ったことを明らかにした。「教皇は、今わたしたちは第三次世界大戦下にあると信じているが、これまでの大戦が一挙に始まったのとは異なり、この戦争は段階的にやってくる、と個人的に語った」。
ローダー氏は、イラクやシリアなどで行われているキリスト者に対する虐殺や迫害に対して世界の反応がないことに驚いた、と語った。「問題は、なぜ世界は反応しないのかだ。テロリストによって何千発ものロケットが打ち込まれた時、他の国と同じようにイスラエルが自衛に動いたら、イスラエルにとても多くの関心が寄せられたが、イラク、シリア、さらには中東全域にいるキリスト者には一言も発せられていない」。
「中東にはキリスト者が安全な国が一つある。それはイスラエルだ。キリスト者人口が増加している中東唯一の国もイスラエルだ。今日、世界は沈黙を保つという『満足』は得られない」
ローダー氏が、教皇と最初に会ったのは、教皇がブエノスアイレスで活動していた時であり、教皇はユダヤ人とキリスト者を結びつけるという「すばらしい業」を成し遂げた、と強調している。
ローダー氏は、キリスト者抑圧は世界の最重要課題の一つである、と繰り返し、ユダヤ人はキリスト者のために声を上げる義務がある、とニューヨーク・タイムズ紙に寄稿した、と語った。寄稿では「中東と中央アフリカの一部では、何世紀にもわたって平和に暮らしてきたキリスト者共同体自体が失われた」と主張したと言う。