アメリカの歴史的黒人教会の発展について批判的な見方をするドキュメンタリーが新しく作られ、メガチャーチの牧師たちが厳しい注目を集めている。特に、まるでスーパースターのように取り沙汰され、自分たちは必ずしも守っているとは言えない福音を伝えながら多くの富を集めている牧師たちが、取り上げられている。
教会はアメリカの黒人たちにとって心であり魂である。彼らにとって教会は避難所であり、上へと上るための手段であり、リーダーは尊敬され、信者たちの人間性は認めてくれる喜ばしいコミュニティーだ。
「黒人教会は様々な理由から他の教会とは異なります。1つは、アメリカにある反黒人の人種差別の社会的、政治的、文化的、経済的影響について対処する必要性があるということです」と、ライス大学宗教学科のアンソニー・ピン教授はドキュメンタリー『Black Church, Inc.(株式会社黒人教会)』の中で説明している。
ピン教授自身は無神論者で、アフリカ系アメリカ人の宗教に関する専門家だが、『Black Church, Inc.』に登場して、視聴者に対し教会の歴史的、文化的、社会的重要性を説明する論客の一人だ。他の論客としては、ハーバート・ドートリー牧師、タハルカ・ロビンソン牧師、ウェブサイト「Church Folk Revolution」創設者T・J氏、CNNの宗教記者ジョン・ブレイク氏、トリニティ・ファンデーションのオール・アンソニー氏などの活動家や牧師たちが挙げられる。
ある教会史学者は、米クリスチャンポスト紙と行った奴隷制度と人種的に隔離された教会についての別の対話の中で、アフリカ系アメリカ人にとっての伝統的な黒人教会の位置づけを、古代ユダヤ人にとってのシナゴーグの役割と比較した。「教会は、アフリカ系アメリカ人が人間として認められ、リーダーにもなれ、コミュニティーの一員になれ、団結することができる唯一の場所でした。だから教会は、ある側面では、古代ユダヤ人にとってのシナゴーグのようなものです。コミュニティーがある場所、力を持てる場所なのです」
しかし、200年前に奴隷制度の真っ只中で生まれ、革命的で反骨精神のあった黒人教会はどうなっただろう?自己犠牲的にコミュニティーをまとめていく牧師たちが牧会しているのではなく、 代わりに羊の皮を被った狼(おおかみ)たちが信者たちの生活をか掻(か)き荒らしているのではないだろうか?神の言葉を語り、イエス・キリストの手と足となるよりも、最近の牧師たちは耳に心地よいことを述べ、献金を集めることにもっと集中しているのではないだろうか。
モグルドム・スタジオが製作した、この48分のドキュメンタリー『Black Church, Inc.』の、挑発的な内容を額面通りに受け取るならば、答えはまさにそうだということになるだろう。
このように非難する目的は、「内側から教会を永続的に変化させるような対話」を呼び起こすためだという。しかし、論客たちが提示する専門家の視点にも関わらず、『Black Church, Inc.』の内容は、一般化と暗示に大きく拠り過ぎている。
腐敗が最も多く行われているのは、金銭的な奉仕を、運を勝ち取るゲームに読み替えるような、歪んだ繁栄の福音を説いて、什一献金を含めた献金(「愛の献金」や謝礼金)の徴収を行うことだという。(続く)
■ 繁栄の福音説く牧師は、伝統的な黒人教会を破壊しているのか?:(1)(2)