文化審議会の特別委員会は10日、2016年の世界文化遺産登録候補として、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎・熊本県)を選定した。長崎県が同日発表した。
今後は9月ごろに世界遺産条約関係省庁連絡会議が行なわれ、来年1月ごろの閣議了解を経て、来年2月1日までに正式の推薦書を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出する。その後、来年夏ごろに行なわれる国際記念物遺跡会議(イコモス)の現地調査を経て、16年夏ごろに行なわれる世界遺産委員会で最終的な登録可否が決まる。
これを受けて、髙見三明・カトリック長崎大司教は歓迎のコメントを発表。「来年3月17日に日本の信徒発見150周年を迎える日本のカトリック教会、とくにカトリック長崎大司教区として、わたしたちの先達が残してくれた遺産の普遍的な価値を国内外の多くの方々と共有することができることを心より願っております」と述べた。
世界文化遺産の推薦は、各国年1件可能。文化審議会は昨年、15年の登録候補として長崎の教会群を選定していたが、内閣官房の有識者会議が「明治日本の産業革命遺産」(岩手・静岡・山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島)を推したことで、政府は最終的に産業革命遺産を15年の推薦に選んだ。
長崎の教会群は、日本で現存する最古の教会として国宝に指定されている大浦天主堂など、13の資産で構成されている。長崎におけるキリスト教の伝来と繁栄、また激しい弾圧と250年もの潜伏、そして奇跡の復活、という世界に類を見ない布教の歴史を物語る資産として、すでに世界遺産暫定リストに登録されている。