全米、そして全世界の何百もの教会が、科学と信仰の調和を目指す年に一度の大会「エボリューション・ウィークエンド」に参加する予定だ。
クラジー・レター・プロジェクト(Clergy Letter Project)のマイケル・ツィマーマン氏が企画し、今月7日から9日まで行われる第9回エボリューション・ウィークエンドは、様々な宗派の教会が集まって、進化論のような科学的理論と信仰とは衝突しないと証明することを目的にしている。
クラジー・レター・プロジェクトは、創世記のような天地創造の物語は「普遍的な真実」ではあるが、「科学的真実」ではないという信念を、宗教指導者達に共有してもらうことに活動の焦点を当てている。
この大会に大いに貢献している宗派の1つは統一メソジスト教会(UMC)で、主流となっている科学的立場とキリスト教信仰との間に対立はないと、その戒規には明記されている。「宇宙的、地質学的、生物学的進化に関する科学的説明は、神学とは対立しない」と戒規には書かれている。
統一メソジスト教会の戒規はさておき、主流のプロテスタントの進化論に対する考えと、エボリューション・ウィークエンドのようなイベントへの支持は、どれ程全体的に根付いているのかという疑問がある。
ツィマーマン氏は、統一メソジスト教会側のサポートは「絶大」だと、米クリスチャンポスト紙のインタビューで語った。統一メソジスト教会の戒規に進化論支持の立場が加えられていることについては、「これ以上のサポートは考えられない程です」と話す。「アメリカ全国から統一メソジスト教会の聖職者がエボリューション・ウィークエンドに参加し、新たに多くの人がクラジー・レター・プロジェクトに賛同してくれました」
また統一メソジスト教会は、エボリューション・ウィークエンドへの協力を今年さらに拡大したと、ツィマーマン氏は言う。「統一メソジスト教会とクラジー・レター・プロジェクトの協力は、全ての人にとって有意義で利益となることです」とツィマーマン氏。
しかし一方で、宗教民主主義協会の統一メソジストプログラム主任、ジョン・ロンペリス氏がクリスチャンポスト紙に話したところによると、全体的な支持に達しているとは言えないようだ。
「統一メソジスト教会の大多数は、牧師も含めて、エボリューション・ウィークエンドなんて聞いたこともないでしょう」とロンペリス氏。「ごく一部が統一メソジスト教会に賛同したかもしれませんが、それをメソジスト教会全体を代表したものと見る根拠は全くありません」と言う。
2008年に統一メソジスト教会の総会でクラジー・レター・プロジェクトを支持する決議は通ったものの、その支持は「基本的にいわくつき」のものだとロンペリス氏は付け加える。
「まず第一に、2008年の決議では他の多くのことに加えてクラジー・レター・プロジェクトを支持すると表明してはいますが、このグループが進化論に関係があるということは、全く明確にされていません」とロンペリス氏。「第二に、こういう決議は通常ほとんど議論もなく急いで通されるか、時にはせいぜい4人しかいないような小委員会で、さっさとゴム印を押して済ませるだけです。あまりに欠陥のある、誠意に欠けたやり方で、呆れるほどです」と言う。
ロンペリス氏はまた、「戒規の表現は曖昧なのでもっと保守的な解釈も可能です。例えば、進化論は詳細においては部分的に間違っている、だから本当の「科学的説明」の範囲には含まれない、とか」と付け加える。
戒規の表現自体、2012年にそれを削除するよう嘆願書が出されるなど、これまでにも反対意見はあった。統一メソジストニュースサービスが伝えたところでは、委員会がこの反対意見を受け入れなかったという。
一方、公的な統一メソジスト教会の支持に加えて、エボリューション・ウィークエンドは他の宗教に対しても影響力を伸ばしていると、ツィマーマン氏は言う。また当初はこのイベントは「エボリューション・サンデー」と呼ばれていたが、後にもっと裾野を広げるため今の呼称になったのだと言う。
「多くの点で、今年は今までの会と似たものになるでしょう。世界中から何百という教会が参加します(今年は13カ国の教会が集う予定です)。約4年前から毎回テーマを設定することにしました」とツィマーマン氏。「今年のテーマとしては、『知の様々なあり方』に焦点を当て、宗教と科学両方を通して人間について多くを知ることができるのだということを祝います。自分達の活動の焦点をこのテーマに据えるかについては、参加する教会によりますが」と語った。