女性主教を容認する草案は、主教院では通過したものの、信徒院での投票で3分の2の賛成票を得るにはわずか6票が足らず、否決に終わった。総会の投票では投票者132人が賛成票、74人が女性主教容認に反対票を投じた。
英国国教会の伝統主義者らは、総会において「現在提示されている女性主教容認の規定は十分受け入れられる説明ではなく、妥協するためにはより時間を要する」とこれまでと同じ説明を繰り返した。また女性聖職者に反対するキリスト教団体「フォワード・イン・フェイス」の副会長を務めるリンゼイ・ニューカム氏は今回の総会投票結果を歓迎し、「もし女性主教が容認されるなら、今後聖公会の間で混乱が生じたことだろう」と伝えた。
女性主教容認派であるウィリアムズ博士は今回の投票前に「今後私達の使命の本筋から逸れる議論に時間を費やすことのないようにしたい。(女性主教を容認することは)英国聖公会の解放の時である」と述べていた。
女性主教容認派の英国国教会主教らの間では、女性主教容認の問題にこれ以上時間をかけず、今後より中核となる問題に焦点を当てていこうとする動きが強まっている中で、今回の投票結果は大きな遺憾をもたらすものとなった。
英聖公会女性司祭のロシイ・ハーパー氏は、「今回の投票が否決されるなら、英国国教会はまだ救われていない世俗の社会よりも低いモラルスタンダードに取り残されてしまうだろう」と警告していた。
女性主教容認案が否決されることで、今後の英国国教会主教候補となる聖職者を募ることも難しくなっていくのではないかとの懸念の声も聞かれている。
世界聖公会が一致し、成長し続けるためにも意見の異なる少数派をいかに包容し、相違を妥協しつつも一致した発展を成していけるかどうかが今後の聖公会の課題となっている。
ウィリアムス博士は女性主教容認案が否決されたことを受け、「個人的に深い悲しみを感じる。私が退任する前にこの問題を片づけられることを期待し祈ってきた。もちろんこれは、個人としての悲しみではあるが、深い悲しみを感じている。総会と次期カンタベリー大主教がすべての課題を可能な限り短期間で解決していくことができるように願うばかりである」と述べている。
総会では既に女性主教容認の原案には同意しているものの、実際的にどのように女性主教容認が決定され、実際に主教とされることが可能になるかの具体的なプロセスに関して、伝統主義者の中では次期総会までさらに時間をかけて考えていかなければならないという考えが残ったままとなっている。
次期カンタベリー大主教となる英中部ダラム主教のジャスティン・ウェルビー氏も女性主教容認を支持しており、今後女性主教を容認できない人々の意見を注意深く傾聴していくつもりであると伝えているという。