ナイジェリアでは毎週多くのキリスト教徒が過激派テロリストによる攻撃によって命を落としている報告がなされている。先週はナイジェリアににある村マセのキリスト教会で教会信徒約50人が牧師家庭での集会に参加している最中にテロリストの攻撃にあり、生きたまま焼かれる惨事が生じた。16日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
バプテスト・プレスの報告によると、同教会副牧師のダコロム・ダチリ氏は「50人の信徒が逃げようとしている最中に殺されました。牧師の妻子も共に殺されました」と述べているという。同教会によると、ナイジェリア国内の多くの村々で100人の信徒が殺害されていることが確認されているという。
キリスト教迫害監視団体オープン・ドアーズは「ナイジェリアはキリスト教徒を殺害する場所となっています。数百人ものキリスト教徒が既に残酷なやり方で殺されています。ボコ・ハラムによって女性や子供も殺害されています。ボコ・ハラムは最近『すべてのキリスト教徒はイスラム教に改宗する必要がある。それ以外に彼らが二度と平和を得る機会はない』と述べています。彼らの目的はナイジェリア国内をイスラム教のシャリア法で統治されたイスラム教国にすることにあります」と述べている。
ナイジェリア犯罪司法コンサルタントのイノセント・チュクウマ氏はボコ・ハラムによるキリスト教徒の殺害について「ボコ・ハラムだけではこのような殺害をやるとは思えません。地域の特定の人物の支援や協力がなければ、この様な犯罪はできないでしょう」と述べており、ボコ・ハラムがある地域の有力人物の支援を得て犯罪を行っている可能性が高いことを示唆した。
ナイジェリアキリスト協会(CAN)代表のアヨ・オリトセジャファー氏は米政府に対し、ボコ・ハラムを公式的にテロ組織であると認め、国際社会がこのテロ組織に対抗していくように呼びかけている。
同氏は「ビン・ラディンをテロリストと認めたものの、アルカイダをテロ組織と認め損ねたことと同様に、ボコ・ハラムの一部のメンバーだけをテロリストと認めています。ナイジェリアにはナイジェリアがイスラム教国にならなければならないと信じるイスラム教過激派が存在しており、ボコ・ハラムがこのような人々を囲っている母体となっています。ナイジェリアはキリスト教とイスラム教という二つの主要な宗教によって真っ二つに分割されている国です。そのためナイジェリアという国そのものをイスラム教国とするのは不可能です」と述べている。
ナイジェリアカトリック司祭らは、イスラム教徒の攻撃に対して、キリスト教徒が報復攻撃を仕掛けないように呼びかけている。既にナイジェリアでは6月17日に3教会が焼失したイスラム教過激派の攻撃の報復攻撃としてイスラム教徒の経営する店が攻撃対象として狙われるなど相互の敵対感の白熱が懸念されている。
英カトリック団体ACN(必要のある教会への助けを)は、ナイジェリアに対する祈りを呼び掛けている。ACN広報担当者のパトリシア・ハットン氏は「ナイジェリア諸教会は北部全域にまたがる問題について私達に祈りを呼びかけています。この時にキリスト教の共同体がナイジェリアの平和のために祈りをもって覚える必要があります」と述べている。