世界教会協議会(WCC)とヨルダン王立イスラム思想研究所(RABIIT)は12日、ナイジェリアの緊張関係を解決するために共に取り組んでいくための報告書を発表した。
報告書では、異宗教間の対話を更に深め、キリスト教とイスラム教の間に平和を構築していくための新たなモデルの構築について発表された。
5月22日から26日にかけて、WCCとRABIITの代表団がナイジェリアのアブジャ、ジョスおよびカドゥナ市を訪問していた。訪問を通して、ナイジェリアにおけるキリスト教徒とイスラム教徒の摩擦に対する報告書がまとめられた。先週には、ナイジェリアプラトー州だけでも100人程の人々が部族衝突で死亡した。
WCC総幹事のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト博士は、「宗教は紛争の宣言文として決して利用されるべきものではありません。ナイジェリアの紛争解決に専心しています。ナイジェリアで宗教の名の下に人々の命が失われていることに対して懸念しております。そのためイスラム教の指導者の方々と共にナイジェリアの状況を把握するための視察を行い、緊張関係の原因となっている多様な要因を確認してまいりました」と述べた。
報告書ではナイジェリアの暴力の背後にある複雑な要因が報告・議論されており、ナイジェリアの部族対立は宗教を超えたところに理由があることが示唆されている。
RABIITを主催するヨルダン王子のガジ・ビン・ムハンマド氏は、「私達が視察した結果、現在ナイジェリアで生じている緊張関係の第一の要因は、宗教にあるのではなく、複雑な政治的、社会的、民族的、経済的および法制度の問題やその他正義に関する問題が含まれていると見られる」と述べた。
視察の結果ナイジェリアの大部分の人々は宗教が暴力のために用いられるのを嫌がっていることも確認できたという。今後キリスト教とイスラム教がさらに協力関係を深めて、ナイジェリアの宗教指導者らを力づけることで、対話を促進させていく方針であるという。
WCCとRABIITはナイジェリアで個人的および組織的に協働することでナイジェリアの人々の指標となる共通の声明を発表していこうとしている。それぞれの宗教的伝統に基づき、ナイジェリアの平和と繁栄のために協働していくことが誓約された。
今後キリスト教徒とイスラム教徒が共に調和をもって暮らし続けるための、平和のための神学的な出版物を出版することも計画されているという。