専門家らは、中東で「アラブの春」が生じ、北アフリカでは2010年冬から反政府デモが高まるようになり、その勢力が中国政府にも及んでくるのを当局が懸念しているのではないかと見ている。
米国に拠点を置く中国人権団体チャイナエイド創設者ボブ・フー氏によると、少なくとも中国国内で1000人の家庭が中国政府による家宅捜索を受けているという。フー氏はAFP通信に対し、200人以上もの中国国内人権活動家、特に弁護士らが最近になって行方不明になっているという。チャイナエイドによると、昨年のクリスマスでは中国国内で警官らが中国政府非公認の場所でクリスマス礼拝を捧げているキリスト者らに対し催涙ガスを放ち、殴打するという惨事も生じたという。
チャイナエイド広報担当者のマーク・シャン氏は米CPに対し、「アラブの春」が生じて以来中国国内の人権問題は悪化するようになったといえるが、中国国内のキリスト教徒に対する迫害は2010年のローザンヌ会議が開催された際に、中国国内の家庭教会代表団らが会議出席のための渡航を規制されたあたりから高まるようになってきたという。シャン氏によると、中国政府がローザンヌ会議を通して中国家庭教会が世界的ネットワークをもつようになることを警戒し、迫害を高めるようになってきたのではないかという。
中国政府は他宗教少数派と同様にキリスト教共同体の活動も弾圧していることで良く知られている。国際宗教自由に関する米国委員会(USCIRF)は2011年の報告書で「中国政府非公認の宗教団体は中国国家の脅威、中国社会の調和を乱す存在として厳しい規制下に置かれている。政府が承認した組織を通じてであれば、宗教活動の一部に関しては寛容に見ている」と報告している。
USCIRFによると、中国政府は昨年500人の非公認宗教団体活動家らを拘束しており、非公認のキリスト教会活動を弾圧する勢いを高めているという。報告書によると、カトリックの非公認聖職者らが数十人拘束されており、一部は行方不明になっているという。
チベット仏教徒、ウイグルのイスラム教徒も中国国内で当局の迫害を受けている宗教少数派である。中国政府はこれら宗教少数派の勢力拡大を防止するための弾圧を高めているという。法輪功も中国政府によって激しい迫害を受けていることで知られている。
USCIRFでは「中国政府は法輪功やチベット仏教、ウイグルのイスラム教および非公認プロテスタントキリスト教徒を弁護する弁護士らを拘束、恫喝、弁護士資格のはく奪、さらには強制的に誘拐する等の活動を継続的に続けている」と報告している。