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「アラブの春」は「クリスチャンの冬」になり得るか?

2011年12月9日11時16分
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デーヴィッド・ビクター・ユセフ氏(写真提供:WCC)+
 エジプト諸教会は、同国の政治的動乱や将来の不透明感により故郷を離れたコプト教徒らのために祈り、移民の受け入れ支援活動を行っている。エジプトでは「アラブの春」と言われる民衆の大規模反政府デモの結実として安定した民主主義社会が生じることが願われている。そうでもなければ、「アラブの春」は「アラブの冬」と化し、中東で少数派であるキリスト教のような少数派宗教に対する迫害が激化することが懸念されている。

 社会奉仕のためのコプト福音主義組織(CEOSS)のデーヴィッド・ビクター・ユセフ氏は世界教会協議会(WCC)に対し、レバノン首都ベイルートで5日から7日まで開催された移民に関するグローバルエキュメニカルネットワークの会合において、「アラブの春」の結末に関する懸念を表明した。

Q 「アラブの春」後のエジプトの政治状況と、移民が生じた結果生じていることについて教えてください。
 

ユセフ氏 今年エジプトでは多くの政治的、社会的、文化的および宗教的変革が生じました。まだエジプトの変革は終わりではありません。 

 チュニジア革命を発端に生じたエジプト革命は、エジプトの多くの地域で変革を起こし、まさに「アラブの春」と言わんばかりの状況となりました。中東全土において、独裁者に対して自由を求める戦いが生じるようになりました。

 中東で劇的な政治的変化が生じるのを祝祭する一方で、政治的不安定は貧困者が安全な国々により良い生活を求めて移住せざるを得ない状況を作り出してしまっています。

 同時に、国外で生活していたエジプト人がエジプトに帰国後、経済状態が不安定で治安に問題があるため、就業先が見つからないという問題も生じています。

 治安崩壊後にイスラム教急進派諸団体が活動し出すことで、多くのエジプト人、とりわけコプト教徒らは西欧諸国への移住を願うようになってきました。

Q エジプトでの最近の政治的展開について説明していただけますか?

ユセフ氏 エジプトでの主な政治的展開としましては、これまで生じていた独裁政権の追放が挙げられます。エジプト国民は真実の民主政治に移行するにあたって、希望に溢れています。

 しかしながら、エジプト国民にとって懸念事項となる問題も溢れています。(暫定統治を行っている)エジプト軍最高評議会(SCAF)による市民国家としての政権に権限を委譲する過程はとても遅く、多くの反政府デモ参加者らは移行過程を迅速化するように要求しています。

 また独裁政権追放後のイスラム教急進派組織の躍動も懸念事項になっています。これらの急進派組織はエジプトの新政権を監視し続けようとしています。議会選挙でイスラム教急進派組織がバックにある政党が新たな議会の議席の40パーセントを獲得するようになっています。

 前政権の象徴となるものを取り除こうとする動きに反して、SCAFおよび同国政府は前政権に対抗する真実の民主政治を求めて取り組もうとはしていないように感じます。

Q エジプト国内のコプト教徒を取り囲む状況はどのように変化しましたか?

ユセフ氏 治安が欠如した結果、コプト教徒らはより多くの暴力や宗派間の緊張関係に直面し、コプト教教会の焼き討ちが生じるようになりました。10月9日には30人以上ものコプト教徒らが、教会が焼き払われたことに対するデモを起こした結果殺害されるという惨事も生じてしまいました。

 エジプトではイスラム教急進派が躍動するようになり、イスラム教のシャリア法をエジプト新政権で適用させようとする動きが活発化しています。そのためエジプト国内に在住するコプト教徒たち、キリスト教共同体は同国でますますの孤立化が懸念されています。

 将来の政治的不透明感を理由に海外へ移住するコプト教徒らも多く生じています。彼らはSCAFが今後も同国を統治し続けるのであれば、エジプトはこれまでの60年間と同じような独裁政権のままとなることを懸念しています。

 さらにイスラム教急進派のシャリア法をエジプト新政権に適用するという案が現実化すれば、コプト教徒は同国での居場所を無くしてしまうことも懸念しています。他にも経済的な混乱状況下にあって、数百万人もの失業者が生じており、エジプト国外で就業先を見つけようとする動きが活発化しています。

 宗派間の暴力的な争いを受け、コプト教徒らは米国、カナダ、オーストラリアなどへ移住するようになってきています。難民収容所に保護されるコプト教徒も多く生じています。このような状況下にあって、離散したコプト教徒らは、エジプト国内の宗教少数派の国際的保護を求めるようになっています。


Q このような問題に対し、諸教会としてどのように取り組んでおられますか?

ユセフ氏  エジプト国内の諸教会は、同国社会を形成するに欠かせない役割を担っています。コプト教徒らが同国で最大限の市民権を発揮して活動して行くことの重要性を提唱しています。またエジプト諸教会は、同国のクリスチャンが社会的、政治的、文化的な迫害化にあることへの注目を呼びかけています。一部の諸教会指導者らは、革命後の新政権においていくつかの社会的、政治的イベントに出席することも計画しています。

 11月11日には、 エジプトのための大規模なエキュメニカル祈祷会が夜通しで行われ、7万人ものキリスト教各宗派のキリスト教徒らが祈祷会に参加しました。祈祷会は夕方6時から朝の6時まで行われ、参加者らは一晩中エジプトのために祈りながら過ごしました。

 他に社会奉仕の点では、諸教会は移民支援に積極的に関わっています。難民への精神的サポートや特化されたプログラムを提供したり、経済的支援や就業支援も行っています。

(インタビュア WCCスタッフライター ナヴィン・ケイユム)

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