現在世界で最も普及してる英語訳聖書「NIV(New International Version)」の改訂訳オンライン版が、同訳を出版する米ゾンダーバン社とビブリカのウェブサイトで公開された。来年3月には印刷版が発売される予定。
NIVが刊行されたのは1978年。最後の改訂が行われたのも1984年と、すでに25年以上が経過している。NIVの後継訳としては05年に、「TNIV(Today's New International Version)」が刊行されたが、性差のある表現を撤廃した改訂に賛否が分かれた。そのため、今回の改訂では一部の表現をTNIVの訳からNIVの訳に戻すなど改善に努め、全世界の英語使用者を意識した新たな訳出を目指した。しかし、一部の福音派指導者は依然として性差に関する表現に問題があると指摘している。
NIVの聖書翻訳委員会(CBT)は今回の改訂で、TNIVでは男性か女性かの区別がつかない単語で表現されていた箇所を、「son(息子)」「he(彼)」「him(彼を、彼に)」「his(彼の)」「father(父)」といった男性名詞に変更し、表現をNIVに近づけた。
しかし、TNIVの訳に否定的な「聖書における男性と女性協議会」(CBMW)は、今回の改訂に「著しい改善」を認めるとしながらも、依然として重大な誤りがあると指摘している。
「我々の初期解析によれば、NVIの改訂訳には、TNIVに見られた多くの問題が依然として残っている。その問題は、特に我々が以前指摘した3600余りの性差の表現に関する問題に基づいている」と話す。
一方、すべての福音派が今回の改訂訳に否定的なわけではない。米ダラス神学校で新約聖書研究を専門とするダレル・L・ボック研究教授は、今回の改訂訳は「確かな訳」であると述べ、「以前よりも訳が明瞭になり改善した」と評価している。