身近な親戚や家族をなくした遺族がそれぞれの痛みや悩みを分かち合い、互いに励ましあう場を提供しようと、ルーテル学院大付属「人間成長とカウンセリング研究所」(以下、PGC、東京都三鷹市)が1日、グループカウンセリング集会「身近な人を亡くした思いを語り合う会」を開催し、20代から80代まで幅広い年齢層の遺族らが参加した。
この集会は、年間計4回行われるプログラムの一環で、今回が3回目。毎回、1カ月の期間中、参加者が週に一度集まる。参加者は毎回募集し、定員は8人。この日は6人が参加した。
参加者が気軽に相談できる場を通して、周囲の人に話せない様々な感情を持って生活している遺族の気持ちが少しでも楽になれば、と担当の野田優子さんは話す。参加者は、同大から紹介を受けて訪れた人、自発的にカウンセリングを探してこの集会にたどり着いたノンクリスチャンなど様々だ。
集会はクリスチャン・カウンセリングの訓練を受けた専属スタッフが担当するが、ノンクリスチャンの参加が多く、聖書的なアプローチは抑えている。最も大切なのは参加者が少しでも重荷を下ろすこと、そのために心を開いて自分の気持ちをスムーズに話せる雰囲気づくりに努めているのだという。
野田さんは「生きる希望を失い、弱り果てて参加した方が、集会の中で確かに生きる力を与えられるのを見ると、神様が弱い彼らに与えられる大きな力を感じます」と、参加者の心がこの働きを通して変えられていることを証した。
野田さんによると、カウンセリング希望者は近年急激に増加した。自殺者の増加や人間関係など、日本人が抱える悩みの根は深い。PGCは、心のケアの場を提供するために、教会との連合や中高生を対象としたカウンセリングなど、たくさんの課題に取り組んでいる。だが、スタッフの数が少なく、スタッフ育成のための資金や時間も不足し、需要に追いついていないのが現状だという。
「こんな時代だからこそ、もっと多くの運動をしていきたい」と野田さん。急増する需要の中で、カウンセリングの現場に資金的・人的支援が必要とされている。
同研究所は82年から、地域の人たちを対象にカウンセリングの教育プログラムを実施してきた。子どもを含め、家族との死別を体験した人たちを援助するため、悲しみを語り合うグリーフ研究会を96年に発足させた。
グループカウンセリングの詳細は人間成長カウンセリング研究所(電話:0422・31・7830)まで。