キリスト教史学会は、9月17日から19日まで横浜市中区の関東学院大学関内メディアセンターで「第56回キリスト教史学会大会」を開催し、学会員約80人が参加した。
17日には公開講演会が開かれ、恵泉女学園大学の石井まやこ名誉教授が「世界貿易とキリスト教 −中国と日本−」を主題に講演を行った。公開講演は一般にも開放され、一般と会員あわせて約110人の参加があった。
公開講演会の後総会が開催され、決算・予算の報告や来年度の計画について話し合いが行われた。総会後には「学術奨励賞」の発表と授与式が行われた。同賞は、今後の発展を願い、若手会員を対象として出されるもの。今年は、「マリヤとソフィア −S・ブルガーコフ著 『燃え尽きざる柴』にみる『教会性』」と題して研究を行った東海大学外国語教員センターの近藤喜重郎さんが受賞。同学会の荒井献理事長から賞を授与された。
18、19日には会員による研究発表が行われた。発表は、研究者たちが日本のキリスト教史と世界のキリスト教史に分かれ、計22行われた。発表内容は、世界のキリスト教史については「十七世紀イギリスバプテスト告白主義に見る分離派の告白」や「北アメリカ植民地におけるイングランド国教会」など、日本のキリスト教史については「国王巡察使としてのフランシスコザビエル」や「日本新約聖書学史における波多野聖一」など幅広く行われた。
同大会は、キリスト教史学会が開催する全国規模の研究発表の場として、毎年首都圏と地方で交互に開催されている。今年は首都圏で行われたこともあり、昨年に比べ多くの参加者がみられた。また18日の午後には、開催地が神奈川県ということから、J. C. ヘボンの史跡をはじめとするキリスト教関連史跡めぐりも行われた。公開講演の内容と、研究発表の中の優れた発表は、来年7月に出版される同学会の史学誌「キリスト教史学」に掲載される。来年の大会は神戸海星女子学院大学で開催される予定。