【CJC=東京】英国国教会(聖公会)の、キース・ニュートン(リッチボロ教区)、アンドリュー・バーナム(エップスフリート教区)、ジョン・ブローダースト(フラム教区)ら元主教3人が1月15日、カトリック教会の司祭に叙階された。
3人は、英国国教会の女性聖職容認傾向に強く反対しており、離脱の最大理由は女性主教実現が必至になったことにある。
教皇は教会法上の組織の一つ、属人区(オルディナリアーティ・ペルソナーリ)の形を導入する使徒憲章『アングリカノルム・チェティブス』(聖公会のグループ)を2009年11月4日発表した。聖公会内で、カトリック的な伝統を尊重するアングロ・カトリックのグループをカトリック教会に受け入れるためのもの。属人区は、聖公会に属していた信者がカトリック教会との完全な交わりに入ることを可能にすると同時に、司祭妻帯を含むアングリカンの精神遺産と典礼の要素を保つことが出来るようにする。
今回の動きで懸念されることの一つは聖職者独身制の行方。カトリック教会は、東方典礼の一部を除き、聖職者は独身であることを要件としている。これまで妻帯した聖公会司祭がカトリック教会に転会した場合、その権能が限定的なものだった。これが属人区とは言え、そこで妻帯司祭が完全な機能を果たすことになれば、新たな混乱を生じかねない。
さらにこれまでの軍人区のような生活上の必要から生み出されたものと異なり、『アングリカノルム・チェティブス』は、教義・典礼上の差を容認する。各教派間の「一致」を目指す、エキュメニズム(教会一致)の意図する方向が変質する可能性さえ想定される。