韓国と北朝鮮の軍事境界線近くにある塔に、クリスマスツリーをかたどった電飾が7年ぶりに点灯する。
塔は北朝鮮からわずか約3キロしか離れていない京畿道金浦市の山「愛妓峰(エギボン)」にある。朝鮮戦争(1950〜53)当時、激しい戦闘が繰り広げられた地であるが、休戦協定締結翌年の1954年に山中の松を使ってクリスマスツリーが作られた。1971年に現在の高さ約30メートルの塔が建てられ、北朝鮮の同族民へ「自由と平和」のメッセージを伝える一つの象徴となっていたという。
かつてはクリスマスと5月の釈迦の誕生記念日に合わせてライトアップされ、北朝鮮への宣伝活動が行われてきた。しかし、兵士や住民を刺激するという朝鮮からの要求で04年から中止されていた。
韓国紙「中央日報」によると、韓国のメガチャーチであるヨイド純福音教会が今月初め、点灯を行う意向を同国の軍当局に申し出た。これを受け、韓国国防省が15日、点灯を許可することを決めたと明らかにした。21日ごろに点灯式が行われる見込みだという。
04年からの点灯中止は、軍事境界線地域での宣伝活動を中止し、宣伝手段をすべて除去するとした第2回南北将官級軍事会談の合意に基づく。同紙は軍関係者の話として「点灯を認めたのは、天安艦爆沈事件以後に軍の対北朝鮮心理戦活動が再開されたのと無関係ではない」と伝え、許可が下りた背景に政治的な判断があることを指摘。点灯は「北朝鮮を最も刺激する」ものだと報じた。