キリスト教会への襲撃事件が相次ぐインドネシアで、警察当局はクリスマスと年末休暇に向けて国家警察を動員した厳重な警備体制を引くと発表した。警察当局のスポークスマンであるイスカンダル・ハサン氏が8日、明らかにした。
同国の中部ジャワ州スラカルタ市では同日、プロテスタント・メノナイト派の教会が窓を銃撃される事件が発生。発表は同事件の後を追って出された。
同教会からそれほど遠くはない地域では、教会の近くで手製爆弾が2カ所で発見された。1ヵ所では爆弾が爆発したものの犠牲者は出なかった。もう1ヵ所では爆発前に発見され被害なかった。7日にはカトリック教会に火炎瓶が投げ込まれ、教会の壁が破損する被害が出るなど、未遂も含めて教会を標的とした事件が相次いでいる。
インドネシア当局はこれらの状況を受け、同国内のキリスト教徒を暴力から保護するため、教会やテロの標的となりやすい公共施設を中心に警備を強化し、事件を未然に防ぎたいとしている。
ハサン氏によると、「国家警察署長は、すでに予防措置として全国の教会や地方自治体へ警察職員を配置するよう指令を出している」という。
インドネシアは、人口の約88パーセントに当たる2億3800万人がイスラム教徒である世界最大のイスラム国家。キリスト教徒はプロテスタントとカトリックを合わせて人口全体の約9パーセント。同国の憲法では信教の自由を定めているが、キリスト教徒に対しては依然として差別があると言われている。
今年9月には、米国の牧師が米同時多発テロの記念日に合わせてコーランを焼却すると発表。これを受けてインドネシアでもデモが発生した。同国内のイスラム教徒とキリスト教徒の関係は一般的には穏健だとされているが、焼却計画の発表後には過激派による教会襲撃事件が多発した。