第3回ローザンヌ世界宣教会議が10月16日から南アフリカのケープタウンで開催される。近代世界宣教の父、ウイリアム・ケアリ(1764~1834)が夢見た1810年ケープタウン国際宣教会議の構想から200年越しの実現となった今回の会議。エジンバラ世界宣教会議から100年目という節目を迎えたローザンヌ運動が、「教会の新しい世界均衡」を確認し、ビジョンと召命、富と貧しさを共有する全地球的共同体の実現へと突き進む。
同会議国際議長のダグラス・バーゼル氏にとって、ケープタウン会議の本質は、さまざまな宣教課題とビジョンの共有を通して謙虚で固い絆(きずな)を形成するところにある。「ローザンヌでは、特定の団体、個人、そして議題が他を圧倒することがない。それが多くの人にローザンヌの価値として評価されている」と同氏は語っている。
この大会で話し合う主な主題は6つ。1つは新しい無神論の勃興だ。ローザンヌは、この時代と次世代の霊魂をめぐる戦いに勝利するために、キリストの唯一性、十字架という核心、聖書の権威という3つの真実が不可欠と認識している。
第2の問題は、人間の倫理と聖書の教えをむしばむ快楽主義の影響だ。バーゼル氏は「物質的祝福を強調する浅薄な“繁栄の福音”信仰は福音の完全性と真正性を損なう。クリスチャンに対し、教会は悔い改めと刷新、従順の深みを追い求めるよう預言し続ける使命がある」と考える。
第3に、イスラム教という現実がある。「イスラム教はグローバルな視点と宣教的信仰を兼ね備えている。イスラム教の布教戦術は非常に効果的で、アラブ世界以外の世界各国で大学や政府がイスラム教の強力な影響下に置かれている」。ローザンヌは、キリスト教会がイスラム教に匹敵する効果的な戦術を編み出し、福音に忠実な方法で公共機関に影響を与えると同時に全ての宗教者を含む全人類に信仰の証しを築いていく必要があるとの立場を表明している。
第4は、国際化する世界という現実だ。国際化は、巨大都市、ディアスポラ、技術革新、ソーシャル・ネットワーキング、政治の崩壊、先行き不透明な次世代の未来などの現象として私生活に大きな影響を与えている。この世界でクリスチャンが優先的に取り組むべき社会的課題を洗い出し、協働体制を形成することも本会議の狙いだ。
第5は、世界の崩壊という現実だ。地上の預言者として証しをする上で、個人と家庭、民族、共同体、国家の痛みと苦しみを熟知する必要がある。ローザンヌ運動の目的は、崩壊を食い止める以上に、神と世界との和解の仲介人として、希望と平和をもたらす存在であるという点にある。
第6の課題は、キリスト教の世界的な劇的変化だ。今世紀までに「神の下にひとつ」という理解が定着し、相互に敬意を払い尊重するパートナーシップが構築された。これにより、前世紀には到底不可能だった国際協力が可能となった。先見的な指導者たちによるこうした協働体制をキリスト教界の細部へと浸透させ、教会が全的な福音を全世界に届けることが可能となる。
最終日の25日には「ケープタウン公約」を宣言し、福音主義キリスト教会の使命を全世界に発信する。
世界福音同盟(WEA)の代表、ジェフ・タニクリフ国際ディレクターは「ここ(世界宣教会議)から新しい宣教の時代が幕を開け、形づくられようとしている」と話している。
会場には指導者、神学者、宣教師以外に、クリスチャン企業家、支援団体、各国政府関係者ら約4000人が200カ国から参加する。会場はケープタウン市街のケープタウン国際会議場。運営委員会は、世界各地の登録制会場「グローバリンク・サイト」やソーシャル・ネットワーク・サイト「ローザンヌ・グローバル・カンバセーション」を利用した遠隔参加も呼び掛けている。詳細は公式サイトで。