【CJC=東京】英国国教会(聖公会)の霊的最高指導者カンタベリー大主教ローワン・ウイリアムズ氏が5月28日、聖公会共同体に向けて厳しい姿勢の声明を発表、公然同性愛者の主教容認をめぐって米聖公会を公然、批判した。聖公会共同体内部の対立が深化することは必至だ。
米聖公会では2004年のジーン・ロビンソン氏のニューハンプシャー教区主教就任に続き、5月初め、ロサンゼルス教区がメアリー・グラスプール氏を補佐主教に選任するなど、公然同性愛者の主教叙階に反対する動きを無視し続けた形。カンタベリー大主教は、グラスプール主教叙階が、信徒7700万人を擁する世界聖公会内の対立をさらに深めることになる、と言う。
大主教は、「私たち聖公会の交わりが手痛い分裂を経験し続けており、最近の出来事が、完全な和解への道を遠くさせている」と指摘した。「米聖公会の正式機関が、他の教会から求められている道には行けない、と感じていることは、キャノン・メアリー・グラスプールの叙階が明確な徴だ」と言う。
カンタベリー大主教には、ローマ教皇のような命令する権限はないものの、今回の声明が、米聖公会など、「合意」を破る場合は対話から降りるべきだ、と示唆したものと見られる。
ロビンソン主教任命の際、聖公会共同体は、同性間の結合祝福を権威あるものとしない、同性間の関係を維持している人を主教に叙階しない、許可なくほかの主教区に介入しない、という3条件の順守で合意していた。
今回叙階されたグラスプール氏が他の女性と同性関係を19年も続けていたことは、3条件順守に違反している。ロビンソン氏も叙階時には、同性間関係にあった。米聖公会の反応は今のところ明らかでない。