【CJC=東京】イスラエル入管当局は5月16日、ヨルダンからイスラエル占領下にあるヨルダン川西岸のパレスチナ自治区へ向かおうとしたユダヤ系米国人で著名言語学者のノーム・チョムスキー氏(81)の入境を拒否した。同行していた令嬢も入境を拒否された。
チョムスキー氏は、西岸を占領するイスラエル側のアルカマラ検問所で3時間にわたり尋問された上、入境を拒否されたもの。「イスラエルはあなたの発言を快く思っていない」と係官が用意された文書を読み上げ、パスポートに「入境拒否」の判を押されたという。同氏は、イスラエルによる占領地への入植などを厳しく批判してきた。
同氏はヨルダン川西岸のビルゼイト大学の招きでラマラなどに4日間滞在し、米国の外交政策についての講演や、サラーム・ファイヤード・パレスチナ自治政府首相との面談を予定していた。イスラエル入りの予定はなかった。イスラエルの大学での講演予定がないことが入境拒否につながったようだと同氏は見ている。
同氏は1997年にイスラエルと西岸を訪問したことがある。入国拒否の経験は、68年のソ連侵攻後にチェコスロバキアに入ろうとした一度だけだという。同氏は「私の言論を気に入っている政府なんか存在するだろうか」と語り、今回の入境拒否をアパルトヘイト時代の南アフリカに例えて非難した。
AFP通信によると、イスラエル内務省報道官は、通行拒否を「何らかの誤解」によるもので、同氏は「何の(ブラック)リストにも載っていない」と説明した。