妊娠中絶手術で知られていた米国の産婦人科医ジョージ・ティラー氏(当時67歳)が射殺された事件の裁判で、米カンザス州の地裁は1日、スコット・ローダー被告(52)に終身刑を言い渡した。
ローダー被告は昨年5月、カンザス州の教会でティラー氏を射殺したとして、第一級殺人の罪で起訴されていた。判決では、仮釈放の申請を認めるまでの期間が注目されたが、仮釈放を50年間認めないという厳しい内容となった。
ローダー被告は裁判で、「より大きな危害から人々を救うのだと信じたからこそ殺害した」などと述べ、無罪を主張。一方、被害者側の弁護士は、意見の相違を理由とした犯行を「テロリズム」と非難。遺族の深い悲しみにも触れ、厳罰を要求した。
米国ではこの事件をきっかけに、中絶反対、賛成の両陣営の間で激しい論争が繰り広げられた。昨年9月、プラカードを掲げて中絶反対を訴えていた男性が射殺された事件では、オバマ大統領が「暴力は決して正当化されない」と遺憾の意を表明した。