教会音楽家の久米小百合さんがオリーブやブドウなど聖書の中に出てくる「食」をテーマに語り、学ぶ講座が4日からスタートした。同日行われた初めての講座ではパンをテーマに取り上げ、聖書に出てくる酵母菌を入れない「種無しのパン」や、5つのパンで5千人を食べさせた奇跡の話、最後の晩餐でイエスが裂いたパンについてなど、聖書のあらゆる場面で登場するパンをキーワードに、当時の時代背景や文化、聖書が投げかけるメッセージに理解を深めた。
聖書の中で出てくるパンとして最初に注目したのは、レビ記2章4節のほか聖書の様々な箇所で出てくる「種無しのパン」。聖書では、過越祭や神への捧げ物として用いるパンに酵母菌を入れてはいけないと書かれている。現代のパンはほとんどが酵母菌を使って発酵させたふかふかのパンだが、以外にも「(当時は)酵母菌を入れずに焼いたパンの方が上等で、神さまへの捧げ物として用いられていたんですよ」と久米さんが説明した。
他にも、アブラハムが客人もてなす時に出した「パン菓子」(創世記18章6節)や、小麦の値段が高く庶民は大麦のパンを食べていたと考えられること(黙示録6:6)、「人はパンだけで生きるのではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる」と語ったイエス(マタイ4:4)、5つのパンと2匹の魚で5千人の腹を満たした奇跡(マルコ6:30〜44)、ユダの裏切りのパン(ルカ22:14)など、パンと関連する聖書の様々な場面を見た。
この日の参加者はすべて女性だったこともあり、パン作りの経験があるという人がほとんどで、自分の身近にある接点で聖書に触れられたようだ。講座では聖書が書かれた時代の政治や文化についても触れ、「歴史的なこともこうやって説明してもらえると本当に良いです」「すごく(聖書の理解が)広がります」といった声も聞こえた。
今回行われた講座は、昨年7月に設立した日本オリーブオイルソムリエ協会が主催する文化講座の1つ。久米さんによる聖書の食をテーマにした「バイブルグルメ」シリーズは今後、3月25日まで隔週ペースで計4回行われる。次回は2月18日(木)にオリーブをテーマにして行われ、その後はチーズやバーターなどの乳製品(3月4日)、イチジク(同18日)、ブドウ(同25日)を扱う。
「バイブルグルメ」は久米さんが講師となるの一連の講座「バイブルツアー」の1つのシリーズで、4月以降も久米さんによる講座は続く。
講座を主催する日本オリーブオイルソムリエ協会は、近年日本でも身近な食品となったオリーブオイルについて、正しい知識を学び、普及することを目的に、「オリーブオイルソムリエ」を養成し、認定している団体。今回行われた文化講座はオリーブオイルの知識だけではなく、オリーブオイルと関係する幅広い文化的な学びの場を提供しようと開かれている。
文化講座は現在24講座が用意されているが、久米さんによる講座のほかにも、「科学技術とキリスト教」(古谷圭一:東京理科大、恵泉女学園名誉教授)や「聖書通読 旧約聖書」(大口邦雄:国際基督教大元学長)など、聖書と関連した講座もいくつかある。
「バイブルツアー」の受講料は1回3990円。少人数制のため事前申し込み(締め切りは各講座の1週間前)が必要で、受講料も前払い。会場は日本オリーブオイルソムリエ協会(東京都中央区京橋3‐4‐1高井ビル)。文化講座に関する詳細は同協会のウェブサイトで公開されている。問い合せ・申し込みは、同協会(電話:03・3271・0808、FAX:03・3272・8755、メール:[email protected])まで。