【CJC=東京】政情不安と貧困にあえぐ中米カリブ海の島国ハイチで1月12日午後4時53分、マグニチュード(M)7・0の強い地震が起きた。その後もM4以上の余震が20回以上観測されている。首都ポルトープランスでは多くの建造物が倒壊、大統領宮殿や財務省など政府庁舎、駐留する国連部隊の施設も被害を受けた。
地震による揺れは1分以上続き、パニック状態の市民が屋外に逃げ出した。多くの被災者ががれきの下に埋まっており、救出活動が続けられている。ポルトープランスでは地上の固定電話、携帯電話ともかかりにくくなっているほか、電力線が寸断され一部地域では停電も起きており、被害の全容の解明が大幅に遅れている。
国連高官は、ハイチ駐在の国連関係者多数が行方不明になっていることを明らかにした。ヨルダンの国営ペトラ通信は、国連平和維持活動(PKO)の国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)に参加する同国軍兵士3人が死亡、21人が軽傷を負ったと報じた。同派遣団の本部は地震で甚大な被害を受けており、がれきの下に埋もれている可能性も出ている。5階建て同本部には総数で約9000人が詰めている。
バラク・オバマ米大統領は声明を発表、政府として人道支援を実施する考えを示した。米国際開発庁(USAID)は、災害対応チーム(DART)派遣に着手した。ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領は憂慮の念を表明、状況の把握を急ぐとともに、支援の検討を指示した。ベネズエラ、ニカラグアなど周辺国も相次いで支援を表明している。米州開発銀行は20万ドル(約1800万円)の緊急支援を実施する方針。ドイツ外務省は、100万ユーロ(約1億3000万円)を拠出することを明らかにした。
日本政府は「早急にどんな支援ができるか検討するよう(事務方に)要請した」と平野博文官房長官が記者会見で述べた。日本赤十字社は救援チームの派遣準備を進めるとともに13日、白田尚道・監査室参事をポルトープランスに派遣した。
民間救援団体も活動を開始した中で、キリスト教関係も、世界教会協議会系の『アクション・オブ・チャーチ・ツゲザー』(ACT)や英国の『ディザスター・エマージェンシーズ委員会』(DEC)が緊急援助を検討している。
カトリック援助団体『国際カリタス』も被害者への緊急援助を決め、救援チームを派遣した。ただポルトープランスの大聖堂も被害を受けており、『カリタス・ハイチ』との連絡はまだ取れていないという。米国の『カトリック救援サービス』は現地スタッフと連絡を取り、事務所が倒壊していないことを確認している。