日本聖書協会(東京都中央区)が主催するクリスマス礼拝が3日、東京・富士見の日本基督教団富士見町教会で行われた。礼拝では同協会総主事の渡部信氏が、イエス・キリストの誕生について書かれているマタイによる福音書1章18〜23節を引用し、「その名はインマヌエル」と題してメッセージを伝えた。
渡部氏は、「神は我々と共におられる」を意味するインマヌエルについて、「これは私たちが求めている信仰、求めたい信仰。そのために私たちは人生の旅をしている」と指摘。しかし、日常の中でこのインマヌエルを忘れ、失ってしまうことが多い。そのような中に「その名はインマヌエル」と呼ばれる神の子イエスが生まれた。「本当の人生の歩みはこのイエスの中にある」と語った。
一方、イエスは聖霊によって生まれ、初めから神の子、全く罪のない方として生まれたと強調。「私たちの求めるインマヌエルはすぐに失われてしまうが、毎年繰り返してクリスマスを祝うことで、私たちも毎年新しくされていく」と語った。
聖書の翻訳・頒布事業を行う同協会は、その働きのために後援会員や全国の教会、信徒らから支援を受けている。09年度(08年11月〜09年10月)は聖書事業のために、約4500万円の献金が寄せられ、海外の聖書協会支援や手話訳聖書制作の助成、児童養護施設への聖書贈呈などに充てられた。クリスマス礼拝は支援への感謝を込めて、多くの方と共にクリスマスを祝おうと毎年行われている。
礼拝後には、今年で20回目となる聖書事業功労者の表彰式が行われ、今年は音吉顕彰会会長の齋藤宏一・前美浜町長(愛知県)が受賞した。美浜町は、現存する最古の日本語聖書「ギュツラフ訳聖書」の翻訳に携わった音吉や岩吉、久吉ら「三吉」の出身地(当時・尾張小野浦)。齋藤氏は91年から07年までの同町長時代、音吉の人生を描いた音楽劇「にっぽん音吉物語」をシンガポールや米国、英国など音吉にゆかりのある国々で公演し、音吉の功績を世界に広く伝えてきた。引退後の現在も、音吉顕彰会の会長として活動を続けている。
齋藤氏は受賞して、「(同賞を)いただけるような者ではない。町民の方々、顕彰会の方々と共に受けたものだと思う」と話し、感謝を示した。今後も、日本人として初めて聖書翻訳に携わった音吉の功績を広く伝えていきたいという。
礼拝には260人が参加し、参加した一人ひとりには同協会オリジナルの「アート聖書カレンダー」が贈られた。