【CJC=東京】スイスで11月29日、イスラム教モスクに隣接して建てられる尖塔(ミナレット)の建設を国内で禁止する憲法改正案の是非を問う国民投票が行われ、即日開票の結果、禁止賛成が57・5%、反対42・5%だった。
国民投票は、移民政策の厳格化などを主張する国民議会(下院)第1党の右派・国民党による運動の一つ。国内でのイスラム勢力の拡大を防ぐ狙いで主導したと見られる。政府側は「宗教間の平和な関係を脅かす」として反対を呼び掛けたが、反対票が多数となったのはフランス語圏のジュネーブなど3州とバーゼルの一部にとどまり、右翼の運動が功を奏したドイツ語圏などで賛成が広がった。
スイス政府は「連邦会議(内閣)は決定を尊重する」との声明を発表、既存のミナレット4カ所については存続を認める方針を明らかにした。政府はまた、モスクの建設継続や、国内のイスラム教徒の信仰維持を容認する考えを表明した。
政府内には「デンマークの新聞が預言者ムハンマドの風刺画を掲載してイスラム諸国の反発を招いた事件の再来となるのでは」との懸念も出ているという。
建設禁止に反対してきた緑の党は、この結果を不服として欧州人権裁判所に訴える方針を表明した。
スイスでは近年、労働力不足に伴って移民が急増。イスラム教徒は35万〜40万人と推定されている。