江戸時代初期にイエズス会により刊行された書物群「キリシタン版」の一つである「金言集」が、中国・北京の国家図書館に保管されていることが14日、東京都の古書店・雄松堂の調査で分かった。
「金言集」は1603年、イエズス会が長崎で刊行。「信徒が殺人を犯した場合、どう対処すべきか」など日本宣教に携わる司祭に具体的な助言を与える内容の書物で、ラテン語で書かれている。1930年代に北京の教会に併設された図書館で確認された後、所在不明となっていた。
写真データで鑑定した上智学院理事長の高祖敏明・上智大教授(比較教育史)は「発見は絶望的といわれていた文献で希少。重要文化財級の価値がある」としている。
「キリシタン版」は日本を訪れた宣教師、アレッサンドロ・ヴァリニャーノ司祭が教団の教育事業の一貫として計画。50点以上もの書物が刊行されており、現代では言語史および印刷史上、貴重な資料となっている。