不安をあおって高額な印鑑を売り付けたとして、和歌山市の印鑑・健康食品販売会社「エム・ワン」の取締役と従業員2人の計3人が逮捕された事件で和歌山区検は9日、3人を特定商取引法違反(威迫・困惑)の罪で和歌山簡裁に略式起訴した。3人はそれぞれ罰金50万〜100万円の略式命令を受け、即日納付した。
略式起訴されたのは同社取締役・森とみ子被告(45)、従業員の奥ひとみ被告(55)、鹿田三津子被告(71)の3人。起訴状などによると、3人は共謀して昨年3月下旬、和歌山市内に住む50代女性をエム・ワンに勧誘。姓名判断を行った上で「家系に悪い運がついている。運命を変えるには印鑑を作ること」などと言って不安をあおり、印鑑3本セットを約110万円で購入する契約を結ばせた。
また、この事件に関連して和歌山県警公安課は9日、エム・ワンの印鑑販売目標や各種マニュアルなどが記された文書を世界基督教統一神霊協会(統一協会)和歌山教会から押収していたことを明らかにした。文書には、摘発が相次いだことから販売をやめるよう指示する内容もあったといい、県警は同社の印鑑販売に統一協会が関与していたとみて捜査を進める方針。
なお、統一協会広報局は同協会の印鑑販売への関与を否定している。