キリスト教は古代から連綿と聖書のテクストに取り組み、解釈の理論と方法を編み出してきた。そこから聖書以外の作品を解釈する方法や、新しく作品を書く創造力が生み出された。それゆえ文学と聖書は異なる領域でありながら、モチーフや方法論においてつながっているのである。本書は、近現代のキリスト教作家に焦点を当て、わが国では分かりにくい国教会諸派やカトリックの文芸運動との関連を解説、世俗化する社会や国際政治の変化も踏まえて作品を位置づけ、英文学におけるキリスト教文学の展開を論じる。さらには聖書学の成果を用いて福音書のイエス伝と小説のイエス像との関係を考察するとともに、批評理論の動向を見すえつつ、互いに影響し合う聖書と文学理論の深い関係を明らかにする。大きな物語、すなわち聖書に基づいた物語は終焉したとしたリオタールの主張を斥け、今日における文学の使命を示唆する、稀有なイギリス文学史。(購入する)
著者: | 高柳俊一 |
価格: | 税込2,310円 |
出版社: | 創文社 |
発売日: | 2009年10月 |
ページ: | 184ページ |
ISBN: | 4423301288(ISBN‐10) 978‐4423301289(ISBN‐13) |
【著書紹介】
▽ 「トマス・アクィナス(コンパクト評伝シリーズ)」(翻訳)(税込2,205円、教文館)