弱者の側に立ち、人間としての尊厳を守るための活動をする個人や団体に贈られる「ステファニ・レナト賞」の09年度受賞者が6日、バングラデシュ人で同国の「ダッカアイチホスピタル」院長モアゼム・ホセイン氏に決まった。外国人の同賞受賞は初めて。授賞式は24日、愛知県名古屋市東区の複合施設「オアシス21」で行われる。
同賞は故ステファニ・レナト神父の功績を称えて04年に創設された。イタリア出身のレナト氏は1964年に来日し、神父としての教会活動の傍ら日本で40年近くにわたり、一貫して社会的弱者の側に立って人間の尊厳を守る活動を展開。また、特定非営利活動法人・名古屋NGOセンターの初代理事長として、東海地方におけるNGO活動の発展、市民レベルでの他者理解および国際協力の推進のため貢献してきた。しかし、03年10月、東ティモールでの活動中に交通事故に遭い帰らぬ人となった。
今回受賞の決まったホセイン氏は91年から4年間、名古屋大学医学部に留学。在学中に「自国の貧しく病気に苦しむ子どもたちのために、無料診療活動ができる病院を持ちたい」との希望を持ち、95年、NGO団体「日本バングラデシュ友好協力会」を発足。精力的な活動で寄付金を集め、翌96年、バングラデシュの首都ダッカに「ダッカアイチホスピタル」を開院した。
03年には同国政府にその活動を認められ、補助金を得て医科大学を併設。同大学ではホセイン氏自らの体験から、貧しくても優秀な医学生を支援するための奨学金制度も開始した。