昨年9月22日から28日まで韓国・仁川(インチョン)で開催された第4回ローザンヌ世界宣教会議の初日に発表され、開催期間中に一部の表現が修正されていた「ソウル宣言」について、ローザンヌ運動の指導部は2月26日、約200人が参加したウェビナー(オンラインセミナー)の中で、さらなる修正はないことを明らかにした。
過去3回の大会では、大会中の神学的議論の結果を集約する形で各種文書が発表されてきたが、ソウル宣言は大会初日に発表され、その後、開催期間中に同性愛に関する一部の表現が修正された。そのため、宣言の作成に関わる機会がなかったと感じた参加者の間では、宣言を巡り議論が生じていた。
また、ソウル宣言の特定の箇所や強調点に異議を唱え、より多様な視点を反映した文言とするため、大会の参加者全員による幅広い対話を望むグループも幾つか存在した。ローザンヌ運動創立50周年の節目となった今大会は、200以上の国と地域から約5400人が参加し、さらに2千人近くがオンラインで参加する、同運動史上最大かつ最も多様な大会だった。
大会終盤に近づいて、ローザンヌ運動の指導部は参加者全員への発表の中で、ソウル宣言に関して強い反応があることを認めた。その上で、大会終了後も協議プロセスを設け、参加者に対し、ソウル宣言に関するフィードバックを提供するよう求め、さらなる修正の可能性を残していた。
それから5カ月後に開催された今回のウェビナーは、ソウル宣言の作成に当たったローザンヌ運動神学作業部会の共同議長であるアイバー・プーバラン、ビクター・ナカの両氏から、宣言の目的、展開、主要テーマ、そして今日の宣教への影響について、直接話を聞く形式で開催された。ローザンヌ運動は大会開催後、フォローアップを目的としたウェビナーを開いており、今回はその2回目として開かれた。
フィードバックのプロセスや、宣言がいつどのように完成するのかについては、2月18日に送付されたウェビナーの招待メールや、ウェビナー講演者のプレゼンテーションでも触れられなかった。そのため、参加者の一人がウェビナーのチャット機能で、ソウル宣言の「最終文書」があるのかを質問した。
これに対し、ローザンヌ運動の最高コミュニケーション責任者(CCO)であるマイケル・デュトイ氏は、「ソウル宣言は最終形だ」と回答。その上で、ウェビナー2日前の2月24日にローザンヌ運動のウェブサイトに掲載された文書「ソウル宣言を振り返る」(英語)を引用した。文書には次のように記されている。
「神学作業部会はソウル宣言にこれ以上の修正を加えないが、私たちはこれを、宣言が提起する神学的、宣教学的課題に対する取り組みの終わりではなく、始まりと見ています」
「神学作業部会がこれまでに受け取ったフィードバックは、検討され、正しく評価されています。これらのフィードバックで特定された項目ごとの意見の相違は、将来の研究、詳細化、拡張の可能性のある領域の調査に用いられます。私たちは、大会を超えた対話を継続することに尽力しています。これは進行中の過程にあり、神学作業部会は、前進する中で多様な声と視点を歓迎しながら、この過程を継続する準備ができています」