ウクライナのカトリック司祭が、ロシアとの戦争の最前線で戦う兵士たちに、霊的なサポートを提供する自身の役割について語った。
国際的なカトリック援助団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN、英語)によると、ビタリ・ノバク神父は現在、約3千人の兵士からなるウクライナ軍の旅団で、唯一の従軍チャプレンとして奉仕している。ノバク神父は、戦場に赴く兵士たちは皆、祖国のために命をささげることになるかもしれないことを知っており、出兵前の彼らを祝福する瞬間は「非常に深い」ものがあると話す。
「このような瞬間は、私にとって非常に重要です。私は彼らに最善を尽くし、安心感を提供したいと思っています。しかし私は、私の祝福の言葉以上に、神の臨在を彼らに与えているのです」
ノバク神父はまた、自身が兵士たちの心のよりどころとなり、戦時下にあっても彼らが良心に従って行動できるよう、霊的な導きを与えることに努めていると付け加えた。
駐ウクライナ教皇大使であるビスバルダス・クルボカス大司教も、戦争は人間の最も悪い部分を容易に引き出す可能性があるとし、兵士たちに適切な行動を促すことの重要性を強調する。クルボカス大司教はACNに対し、次のように語った。
「戦争に対処する、より人道的な方法があります。不確実と恐怖に直面する中で、キリスト教の価値観を伝えることです。それは、非常に重要です」
ノバク神父のような従軍チャプレンは、兵士たちが負傷したり、命を落としたりすれば、必然的に病者の塗油の秘跡(終油)を施したり、葬儀を執り行ったりすることが求められる。また、戦闘で心身共に傷を負った兵士たちへのカウンセリングも、重要な任務の一つだ。
バチカン(ローマ教皇庁)は2月末、教皇フランシスコが、第2次世界大戦で米軍の従軍チャプレンとして奉仕し、朝鮮戦争中に捕虜収容所で亡くなったエミール・カパウン神父(1916~51)を「尊者」として承認したと発表した。尊者は、カトリック教会において「聖人」「福者」に次ぐ敬称で、その生涯が英雄的、福音的な生き方であったことが認められた人物に授けられる。尊者に認められた人物は、今後さらなる調査で要件を満たせば、福者や聖人とされる。