スパイ容疑で逮捕されたチェコ人の宣教師ペトル・ヤセクは、スーダンでの14カ月の投獄中に同房者から拷問を受けた。しかしそのような中で、主イエスは超自然的な平安をヤセクに与え、彼は獄中で大胆に信仰を広め、多くの人々をキリストに導いた。これはその驚くべき証しだ。
殉教者の声(VOM)のアフリカ地域ディレクターとして、ヤセクはスーダンのヌバ山地の地方を訪れた。ここでは、政府と反政府勢力の間の衝突によってキリスト教徒が迫害されている状況が続いていた。彼はそれを記録するために現地を訪れたのである。
ところが2015年12月、彼はハルツーム空港でスーダン警察に拘束された。入国管理局の職員が、ヤセクがセキュリティーのために保持していた複製パスポートを発見したのだ。これによって彼はスパイ容疑が疑われ、即座に逮捕・投獄されたのである。
「夜中の1時半ごろに独房に着きました。床には人々がひしめき合っていました。彼らが少し場所を空けてくれて、私はようやく横になれたのです」「房の環境は極めて厳しいものでした。毛布もなく・・・ただのTシャツ2枚、ズボン1本、歯ブラシ、歯磨き粉、石鹸があるだけでした」。看守は、彼がチェコ共和国出身であることから寒さに慣れているだろうと思い、毛布やマットレスを提供しなかった。
「午前5時半、イスラム教の祈りの呼びかけで目を覚まし、同房者6人全員が熱心に祈り始めました。彼らは私に、皆が祈っている間、私が立つべき場所を指示しました。彼らの流儀によれば、キリスト教徒の私は彼らの後ろに立っていなければならなかったのです」
祈りが終わると、彼らは自分たちがIS(イスラム国)の戦闘員であることを明かした。そして2日後、同房の彼らは公然とヤセクに拷問を加え始めたのだ。
「彼らは何度も私の顔に拳を当ててきました。私のことを『汚い豚野郎』だの『ドブネズミ』だのと呼んだのです。1人の戦闘員がぶっきらぼうに『おい、汚い豚野郎、こっちに来い』と命令してきました」
「最初はこの無礼な呼び方に反応しないことにしていましたが、そうしていると、彼らは掃除用具から外した木の棒で頭や肩、指などを叩くようになりました。彼らはブーツで私のみぞおちや背中を蹴り上げてきたのです」
同房者からの激しい暴力を受けながらヤセクは、イエス・キリストが逮捕されたときに受けた苦しみを思い出していた。「主もまた、木の棒でたたかれ、嘲笑され、平手打ちにされました」(続く)
■ チェコの宗教人口
カトリック 20・1%
プロテスタント 2・8%
イスラム 0・1%
無神論 71・4%
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