13日に発生したドナルド・トランプ前米大統領の暗殺未遂事件に巻き込まれ死亡した集会参加者は、2人の娘を持つ消防士の男性で、毎週日曜日に教会に通うクリスチャンだった。
事件は、米東部ペンシルベニア州バトラーで開かれていたトランプ氏の支援者集会で発生。会場には数千人が詰めかけており、その中の一人だった同州在住のコリー・コンペラトーレさん(50)が犠牲になった。同州のジョシュ・シャピロ知事は14日に開いた記者会見で、コンペラトーレさんについて、家族と地元を愛した人物だったと語った。
「コリーは娘思いの父親でした。コリーは消防士でした。コリーは毎週日曜日に教会に通っていました。コリーは地元を愛していました。そしてとりわけ、コリーは家族を愛していました」
シャピロ氏は、銃撃から家族を守って命を落としたコンペラトーレさんを「英雄」と称賛。身をていして家族に覆いかぶさったと言い、「コリーは私たちの中で最高の人物でした。彼の思い出が祝福となりますように」と話した。
娘の一人、アリソンさんは自身のフェイスブックに、「父は私たちに向かってきた銃弾から私の体を守ってくれました。私たちのために本物の銃弾を受けるほど、父は本当に私たちを愛していました」と投稿した。
妻のヘレンさんも、この出来事に対する悲しみを語り、自身のフェイスブックに、「私の大切な娘たちが目の当たりにしなければならなかったことは、許し難いことです」とつづった。
ジョー・バイデン米大統領は事件を受け、ホワイトハウスの執務室から演説を行い、コンペラトーレさんに賛辞を送り、家族を守った英雄的行為を称賛した。
米公共放送NPR(英語)によると、シャピロ氏は、「コリーは前大統領の熱心な支持者で、昨夜、彼と一緒に地元にいられることをとても喜んでいました」と述べ、コンペラトーレさんがトランプ氏の熱心な支持者であったことを語った。
コンペラトーレさんは、ペンシルベニア州バッファローで、ボランティアの消防団長を務めていた。バッファローで首長を務めるリッチ・ヒル氏は、コンペラトーレさんの死に深い悲しみを表明し、「政治的暴力は常に容認できないものであり、非難されるべきです」と語った。
シャピロ氏はコンペラトーレさんの遺族の他に、事件で重傷を負った2人の家族にも連絡を取ったと明かした。
この事件では、コンペラトーレさんが死亡したほか、ペンシルベニア州ニューケンジントン在住のデビッド・ダッチさん(57)と、同州ムーン在住のジェームズ・コペンハーバーさん(74)が負傷した。2人はいずれも重傷を負ったものの、容態は安定しているという。
シャピロ氏はその後の記者会見で、平和と礼節を呼びかけ、政治活動に平和的に加わることの大切さを喚起した。
「全てのペンシルベニア州民、全ての米国人に向けた私のメッセージは、自分の信念をしっかりと持ち、自分の信じることを信じ、自分の信じることを主張し、政治活動に参加すること、しかし、常に平和的にそうすることです」
シャピロ氏はコンペラトーレさんに哀悼の意を表し、州内に半旗を掲げるよう命じた。