沖縄県で米兵による性暴力事件が相次いで発覚し、政府がいずれも県側に情報提供していなかった問題を受け、日本バプテスト連盟性差別問題特別委員会は9日、抗議声明(8日付)をホームページで発表した。
声明は、「沖縄で繰り返される性暴力は、米兵によるものです」とする一方で、「事件後の対応などから、暴力が繰り返されてしまう根深い要因が見えてきます」と指摘。それは「沖縄の性暴力被害者や沖縄で暮らす人々を大切にしようとしない政府の姿」だとし、事件を把握していながら沖縄県に伝えていなかった政府の対応を問題視した。
その上で、「あえて、沖縄県に情報を隠したことは、沖縄軽視に加え沖縄の自治への冒瀆(ぼうとく)であり、いのちと尊厳が傷付けられる性暴力事件さえ、政治利用するという欺瞞(ぎまん)に満ちた政府の在り方を示しています」と厳しく批判。米軍が被害者に対し謝罪と補償を行うことや、政府が米軍による事件・事故を全て明らかにすることなどを求めた。
報道によると、今回相次いで発覚した米兵による性暴力事件の一つは、米空軍兵の男(25)が昨年12月、16歳未満の少女を車で自宅に連れ去り、性的暴行を加えた事件。もう一つは、米海兵隊員の男(21)が今年5月、建物内で女性に性的暴行を加え、けがを負わせた事件。
最初の事件は、今年3月11日に沖縄県警が書類送検し、同27日に那覇地検がわいせつ誘拐と不同意性交の罪で起訴。外務省は起訴時点で駐日米国大使に抗議していたが、沖縄県には伝えていなかった。事件の存在はその後、3カ月近く後の6月25日になって報道によって明らかになった。
2つ目の事件は、事件発生の当日中に、沖縄県警が逃走していた米海兵隊員の男を逮捕。那覇地検が6月17日、不同意性交致傷の罪で起訴していた。外務省は起訴に先立つ同12日に、駐日米国大使に抗議。しかし、最初の事件と同じく沖縄県には情報提供せず、同28日になって報道によって事件の存在が明らかになった。