日本カトリック正義と平和協議会は、沖縄戦の戦没者追悼と平和を祈る日として沖縄県が定める「慰霊の日」の23日、声明を公式サイトで発表した。
声明は60年前の1963年、当時のローマ教皇ヨハネ23世が回勅「パーチェム・イン・テリス―地上の平和」で述べた言葉を引用。教皇は、軍備の縮小や全廃は、その過程が人間の心にまで及ぶ徹底した完全なものでなければならないと強調し、「軍備の均衡が平和の条件であるという理解を、真の平和は相互の信頼の上にしか構築できないという原則に置き換える必要があります」と述べていた。
これに対し声明は、昨年12月に反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記する安保関連3文書を閣議決定し、今年3月には6兆7千億円を超える過去最高の防衛費を含む新年度予算を成立させた政府に言及。防衛費増額の背景には台湾を巡る米中間の深刻な対立があることに触れつつも、「しかし同時に、日米同盟下のこうした軍拡政策自体が、中国を強く刺激していることも間違いありません」と指摘している。
その上で、万が一米中間で武力衝突が起きれば、集団的自衛権の行使を認めた2015年の安保関連法によって、日本が戦争に巻き込まれる可能性があると警鐘。またその際、最初に標的とされるのは、現在長射程ミサイルの配備が進む沖縄県の南西諸島に他ならないとし、ミサイル配備を直ちに中止するよう求めている。
また、戦争は緊張をあおることで回避できるものではなく、緊張が高まり、ある一線を越えたときに始まるものではないかと問いかけ、「今、日本が本当にしなければならないことは、『抑止』と言いながら軍事力を高めることではありません」と強調。国家間の緊張が戦争に発展し得る現代世界の状況を見据えつつ、憲法の前文や9条でうたわれている平和主義に従い、決して戦争をしないという決意の下、外交努力、軍備縮小、核兵器廃絶の努力を重ねるよう強く求めるとしている。