「ロックンロールの王様」と呼ばれる伝説のロック歌手、エルビス・プレスリーが所有していた聖書が競売にかけられ、12万ドル(約1880万円)で落札された。
競売を主催したGWSオークションズ(英語)によると、落札された聖書は、1977年にエルビスが「グレイスランド」と呼ばれた自宅の寝室で亡くなっているのが見つかったとき、ベッド横のサイドテーブルの上に置かれていたものだという。
黒地の表紙に覆われた聖書は三方が赤く染められており、表表紙の下部に「Elvis Aaron Presley」と金色の型押しが施されている。聖書本文はさまざまな箇所に下線が引かれており、角が折られたページもあるなど、エルビスが愛用していたことがうかがえる。
下線が引かれた箇所の一つは、ヨブ記31章24~26節で、次のように書かれている。
「わたしが黄金を頼みとし、純金があれば安心だと思い、財宝の多いことを喜び、自分の力を強大だと思ったことは、決してない。太陽の輝き、満ち欠ける月を仰いで・・・」(新共同訳)
この箇所が書かれたページは角が折られており、エルビスが特に注意を払って読んでいた箇所だった可能性がある。
また、創世記1章31節にも下線が引かれており、次のように書かれている。
「神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。夕べがあり、朝があった。第六の日である」(同)
イザヤ書29章19節も下線が引かれていた箇所で、次のように書かれている。
「苦しんでいた人々は再び主にあって喜び祝い、貧しい人々は、イスラエルの聖なる方のゆえに喜び躍る」(同)
競売にかけられた聖書には、エルビスと親しかったいとこのパッツィー・プレスリーさんの手紙も添えられている。手紙には、次のように書かれている。
「エルビスが亡くなって間もなく、バーノン(エルビスの父)おじさんと私はグレイスランドの彼の寝室に行き、彼の私物を整理して梱包しました。この聖書は、エルビスがサイドテーブルの上に置いていた3冊の本のうちの1冊でした。それらを梱包した後、バーノンおじさんは私に大切に持ち帰らせ、最終的に私に譲ってくださったのです」
エルビスの義理の弟で、『エルビスの信仰:兄弟だけが語れる物語』(英語)を2022年に出版したビリー・スタンレーさんは、米キリスト教メディア「クリスチャンポスト」とのインタビュー(英語)で、「彼は行くところどこにでも、聖書を持っていく人でした」と話している。
また、英オブザーバー紙とのインタビューでは、エルビスが就寝時に一緒に祈り、聖書を読み聞かせてくれたことや、エルビスが家でゴスペルを歌っていたことを覚えていると話していた(関連記事:義弟が明かすエルビス・プレスリーの信仰 「助けが必要なときはいつも神に頼っていた」)。
エルビスの聖書の競売は、3万ドル(約470万円)の入札価格から始まったが、最終的にはそれを大きく上回る4倍の値が付く形となった。落札者は匿名の個人で、これまでのところ、誰かは明らかにされていない。