「希望の神学」の提唱者として世界的に知られるドイツ人神学者のユルゲン・モルトマン氏が3日、ドイツ南部テュービンゲンで死去した。98歳だった。モルトマン氏の家族が4日、ドイツ福音主義教会系のEPD通信に明らかにした。
1926年、北部ハンブルクで教会とは無縁の教師一家の息子として生まれた。10代の頃にナチス・ドイツ軍に従軍し、第2次世界大戦中に捕虜に。約3年にわたり、ベルギーと英国で収容所生活を送った。しかしその中で、キリスト教信仰と神学に触れる機会が与えられ、帰国後、神学者の道へ。
ゲッティンゲン大学で博士号取得後、北部ブレーメンの小さな集落バッサーホルストの教会を数年牧会。その後、告白教会が運営するブッパータール神学大学(現ブッパータール・ベーテル神学大学)、ボン大学、テュービンゲン大学で教鞭を執り、30年以上にわたって組織神学を中心に教えた。
ボン大学教授時代の64年に出版した『希望の神学』で世界的に知られるようになった。他の代表作に、『十字架につけられた神』(72年)、『聖霊の力における教会』(75年)、『三位一体と神の国』(81年)などがあり、多くの著書が日本語にも訳され出版されている。
2016年に89歳で死去した妻のエリザベート・モルトマン・ベンデルさんは、フェミニスト神学者で共著も多い。夫妻で数回来日し、講演会も行っている。