カリブ海の島国ハイチで、宣教師として奉仕していた米国人の若い夫婦が、現地のギャングに殺害された。夫婦を派遣していた宣教団体が明らかにした。
米宣教団体「ミッション・イン・ハイチ」(オクラホマ州)は24日、デイビー・ロイドさん(23)と妻でミズーリ州のベン・ベイカー下院議員の娘であるナタリー・ロイドさん(21)が、宣教活動の現地責任者であるハイチ人のジュード・モンティス牧師(45)と共に殺害されたとフェイスブック(英語)に投稿した。
「デイビーとナタリーとジュードは今日の夜9時ごろ、ギャングに射殺されました。私たちは皆、打ちのめされています」
ミッション・イン・ハイチは、前日23日の投稿(英語)では次のように報告し、祈りを求めていた。
「デイビーとナタリー、そして子どもたちが教会のイベントから出てきたとき、トラック3台いっぱいのギャングたちに待ち伏せされました。デイビーは縛られて家に連れて行かれ、殴られました。ギャングは私たちのトラックを奪い、欲しいものを全部積んで出て行きました。その後、別のギャングたちが、何が起きているのか、自分たちに何かできることはないかと訪ねてきました」
「彼らが何をしているのか誰も理解しておらず、何が起こったのか分かりませんが、一人が撃たれて殺され、このギャングは完全に攻撃モードに入りました」
その後、ギャングのメンバーが「家の窓を全て撃ち抜いた」後も発砲を続けたため、ロイズ夫妻とモンティス牧師は近くの家に避難した。「彼らの命が危険です。彼らを安全な場所に避難させるため、警察の装甲車を呼ぼうとあらゆる手段を尽くしていますが、誰もそれをできません」と投稿は続いた。
ミッション・イン・ハイチは、デイビーさんの父親であるデイビッド・ロイドさんと母親のアリシア・ロイドさんが2000年に設立した。アリシアさんは24日、米NBCニュース(英語)の取材に応じ、この若い夫婦の死を確認したと述べ、息子は攻撃中に電話をかけてきたと付け加えた。
ハイチは、ジョブネル・モイーズ大統領が憲法改正に向けた動きをしている最中の21年7月に暗殺されて以来、ギャングが横行している。情勢は今年に入るとさらに悪化し、ハイチにいる米国人宣教師や米国市民は国外脱出を図り、多くの人々が足止めを食らっている。
国連人権高等弁務官は、3月に発表した報告書で次のように述べている。
「構造的、推測的な要因によって、ハイチは、深い政治的不安定と極めて脆弱(ぜいじゃく)な制度を特徴とする大混乱に陥りました」
「汚職、不処罰、貧弱な統治に加え、ギャングによる暴力の増加により、法の支配が損なわれ、民主主義社会の基盤であるべき国家機関が崩壊に近づいています。全般的な治安の悪化が住民に与える影響は悲惨で、悪化の一途をたどっています」