前回は、過去に存在したさまざまに異なる種類の人類に関する科学的見解と聖書的見解を学びました。そして「製造者」である神様が、それら異なる種類の人類をそれぞれに異なる特定の目的のために創造なさったことをうかがい知ることもできました。
今回は、地球の「リセットボタン」と、エバの夫アダムを祖先とする私たち人類より前の時代に生きた人類(の種類)について学んでいきたいと思います。
地球の「リセットボタン」による「世代/時代」と「世代/時代」の間の休閑期間の様相
神様が数十億年も前に最初に地を創造なさって以来、新たに地を再創造するために幾度か「リセット」なさったとしたら、それはどのような方法だったのでしょうか。幾つか考えていきましょう。
第一に考えられるのは大洪水です。
深い海の底の地中に「リセットボタン」があるとしたらどうでしょうか。詳細についてはまた別の機会に学ぶことにしますが、今の段階で皆さんに認識していただきたいのは、地球が何度も破壊と再補充(再創造)を繰り返してきたということです。
神様が最初に地を創造された「時」はアルケー(「時」そのものの始まり)の時です(テトス人への手紙1章2節では「永遠の昔」と書かれています)。悪魔が罪を犯して天から地――正確には地獄――へ投げ出されたのはその後でした(地獄とは、肉眼で見ることのできない地の底にあると考えられます)。悪魔は罪を犯して以来、人間の血潮に罪を持ち込むことによって人間を攻撃し続け、その攻撃は成功してきたようです。
前回学んだ通り、原型としての人間(H119)である「アントローポス」(G444)は創造された全ての人類の「総称」を表します。これは、神様によって創造された全ての人類の中に血潮が流れていたことを意味します。
各世代/時代(さまざまな種類の人類)の地に罪が入り込むと人々が堕落していきます。悪魔が、人々を神様に敵対させるように仕向けるためです。そして、神様による被造物である地は滅びを招くことになります。神様には、地球を再創造し再補充することによって、各世代/時代を滅ぼし、やり直すより他の選択肢がなかったのでしょう。
アダム以前に創造された世代/時代(さまざまな人種)について調べることで、彼らがどのように滅ぼされたかをうかがい知ることができます。
こう主張する彼らは、次のことばを見落としています。天は大昔からあり、地は神のことばによって、水から出て、水を通して成ったのであり、そのみことばのゆえに、当時の世界は水におおわれて滅びました。(ペテロの手紙第二3章5、6節)
「当時の世界」とありますが、これは現在の私たちがいる世界と同じではありません。この「世界」という言葉はギリシャ語の「コスモス」で、アダム以前の人々が生きた当時の地球や人々によって築かれた教養や文化をも含むものです。そして、それら全てが大洪水によって滅ぼされました。
ですから、上の節でペテロが語っているのはノアの洪水のことではありません。ノアの洪水は、私たちが目にしているこの世界で起こりました。ノアは、エバの夫アダム(H121)を祖先(プロートスG4413)とする子孫である人類(アントローポスH120)に属していました。聖書には次のように書かれています。
こう書かれています。「最初(プロートスG4413)の人(アントローポスG444)アダム(H121/G76)は生きるものとなった。」しかし、最後のアダム(H121/G76)はいのちを与える御霊となりました。(コリント人への手紙第一15章45節)
しかし、ペテロの手紙第二3章5、6節で、ペテロは、私たちとは異なる(ヘテロスG2087)世代/時代(ゲネアG1074)の、異なる祖先(プロートスG4413)を持つ人々について語っています。私たちの祖先であるアダム(エバの夫)は、第一(プロートスG4413「祖先」)の人(アントローポスG444)であるアダム(H121)でした。
聖書に、そのアダム(エバの夫)の前に、別の(種類の人類の)第一(プロートスG4413「祖先」)の人(アントローポスG444)であるアダム(<注>H〇〇〇)が存在したことを表す記述があるということです。ペテロは、その人が水によって覆われ、滅びに至った世界の祖先であったと語っています。
<注>〇〇〇は不明であることを表し、前回学んだ「原初の人アダム」とは別の記号を表しています。
多くの人々は、創世記1章2節に記されている地の状態について深く考えたことがないかもしれません。
地は茫漠(ぼうばく)として何もなく、闇が大水<注>の面(おもて)の上にあり、神の霊がその水の面を動いていた。(創世記1章2節)
<注>欽定訳聖書では「大水」ではなく「深淵」
この箇所の「深淵」と「水」はどこから生じたものか想像してみてください。それは、ペテロが語っていた大洪水のことで、アダム(エバの夫)が創造される以前に滅びた異なる種類の人類の世代/時代に起こったものです。もしも神様によって初めて創造された地球であったならば、そこには水はもちろん何もない状態であったことでしょう。
従って、創世記1章1節は天地創造の始めについて記されていますが、創世記1章2節は天地創造の始めについての記述ではないことになります。つまり、創世記1章2節に起こったことは、1章1節に記されている状態から数十億年も後のことになると考えられるのです。
創世記1章2節は、神様によって造られた最後の世代/時代の人類の創造について書かれています。エバの夫アダムから始まる私たちは、神様によって創造された最後の世代/時代の人類なのです。
これらのことが彼らに起こったのは、戒めのためであり、それが書かれたのは、世(アイオーンG165)の終わりに臨んでいる私たちへの教訓とするためです。(コリント人への手紙第一10章11節)
私たちは、神様によって創造されるさまざまな種類の人類の中で最後となる世代/時代です。
ここで明らかにしようとしているのは、アダム以前の地上にはさまざまに異なる種類の人類が存在しては大洪水によって滅ぼされた歴史があるということと、大洪水は、それぞれの世代/時代に築かれていた文明をも滅ぼし、それまでの地を「リセット」するための第一の手段として神様によって用いられたということです。
調べたところ、10億年前に世界規模の大洪水があったという地質学的発見が判明しました。その大洪水は地球全体に影響を及ぼしました。そのような規模の大洪水は氷河時代を引き起こす要因になりました。ですからその(10億年前の)大洪水においても、神様によって一つの世代/時代が滅ぼされた可能性が高いと考えられるのではないでしょうか。
そのような大洪水は、ノアの時代に起こった洪水ほど小規模なものではありませんでした。「氷床コア(ドームC)」と呼ばれる80万年にわたる地表温度の氷河データからは、氷河時代が5回ほどあったことが分かっています。科学者たちの主張に反して、それらの氷河時代は大洪水によって引き起こされたものです。そしてそれらは、80万年の間にさまざまな文明を滅ぼす要因となりました。氷河時代とは、神様が当時の地球に住む人々を滅ぼした後に地球全体を凍らせた結果なのです。
さまざまに異なる種類の人類はそれぞれ、前の時代の文明を生きた全ての人々を一掃するほどの悲惨な大洪水の期間を経て創造されたということをよく表していると思います。
「世代/時代」と「世代/時代」の間には何も創造されない期間がありました。大洪水の水があるだけでした。大洪水の後で、神様が太陽を取り除くと決められた時代には、地球は氷の玉となって凍りました。それは、今日の科学者たちが氷河時代と呼ぶ状態を引き起こしました。このように、前の世界の滅亡と次の人類(新たな世代/時代)の創造との間には、何も創造されない数千年間という隔たりが常にあったのです。
アダム(エバの夫)が創造されたのは、彼とは異なる種類の人類が滅びることになった最後の大洪水の後のことで、長く見積もっても1万5千年前のことと考えられます(詳しくは、私の著書『いま明かされる 宇宙創造の新事実』をご参照ください)。しかし、地球が創造されたのは、その時が最初ではありませんでした。神様が大洪水という「リセットボタン」を用いた後に、地球は再創造されたのです。
しかし、神様から啓示を頂いて過去に「タイムトラベル」した人々の証しによれば、地上には動物しかいなかった時代があったようです。その時代には、神様は人類を創造なさらず、動物だけを創造なさいました。これは科学的にも認められています。その時代は主に動物で占められ、大洪水ではなく、大地殻変動によって滅亡した唯一の世代/時代であったと考えられます。
一つ、啓示を紹介します(啓示など、信じられないという方々もいることでしょう。たとえ信じられなくても気分を害されないでください)。科学でも、そのような期間(時代)が存在したと認められています。ですから科学的根拠によるにせよ、天国からの知らせにせよ、この事実をご自由に信じていただければと思います。
ある女性が啓示を受け取りました。彼女が見たのは、神様が、ご自身が創造なさった(物理的な)地球を支えている幕を引き抜く場面でした。(そして、地球全体が崩壊し、その衝撃で動物たちが息絶えました。動物しかいなかった当時の地球にもサタンは既に潜入していました。当時の世界は、動物が共食いをして滅ぼし合う状況にまで達したので、神様はへきえきし、地を滅ぼさざるを得ませんでした。しかし、その手段は大洪水ではなかったのです。)
あなたは光を衣のようにまとい
天を幕のように張られます。(詩篇104篇2節)
主は地をおおう天蓋の上に住む方。
地の住民はバッタのようだ。
主は、天を薄絹のように延べ広げ、
これを天幕のように張って住まわれる。(イザヤ書40章22節)
上の節にある「天」とは、目に見えない領域のことです。神様は、そこから目に見える地球を創造なさいましたが、それは目に見えない領域を延べ広げることによってなされました。つまり、目に見えない超自然的な領域から目に見える(物理的な)地球を創造されたのです。神様は、その延べ広げられた部分を物理的な世界に変えて今日の私たちが住む地となさいました。
神様は、地を滅ぼそうとされる場合には、その幕を引き抜かれました(その啓示を与えられた女性によれば、その人は天国に連れて行かれ、過去に起こったことを見せられたそうです)。その時代の壊滅の引き金となった「リセットボタン」は、大洪水ではなく大地殻変動だったのです。
そして、私たちは皆、将来神様が「火」を用いてこの地を再び滅ぼすおつもりであることを知っています。主が、水によって再び地を滅ぼすことはないと約束なさったからです。
わたしは、わたしの契約をあなたがたとの間に立てる。すべての肉なるものが、再び、大洪水の大水によって断ち切られることはない。大洪水が再び起こって地を滅ぼすようなことはない。(創世記9章11節)
しかし、主の日は盗人のようにやって来ます。その日、天は大きな響きを立てて消え去り、天の万象は焼けて崩れ去り、地と地にある働きはなくなってしまいます。(ペテロの手紙第二3章10節)
これまで学んできたことを見直すと、過去の世代/時代から現在までに何十億年という年月が経過してきたということが理解できることでしょう。この「世代/時代」(ドールH1755/ゲネアG1074)という単語には「妊娠した/はらんだ」という意味があり、「時」を表す別の単語と共に使われる場合には「無限大の時」「底知れぬ/想像を絶するほどの、絶え間ない長さの時間」を表すということは既に学びました。
先の(リショーンH7223/プロートスG4413「祖先」「時」)代の人(ドールH1755/ゲネアG1074)に問うてみよ、先祖たちの尋ねきわめた事を学べ。(ヨブ記8章8節、口語訳)
この節では、「ドール/ゲネア」(世代/時代)という単語が、「時」を表す別の単語「リショーン」と共に使われています。ここで神様は、アダムの人型に造られた全ての祖先たち――神様がそれぞれの世代/時代の第一の人として造られた祖先とその子孫たち――について探究するようにと私たちを促しておられるのです。
つまり神様が伝えたいのは、私たちは過去のさまざまな種類の人類について学ぶべきであるということです。私たちの世代/時代のエバの夫アダムや当時の他の人々について学ぶだけでは不十分です。神様は、アダムの時代の人々はもちろん、神様によって何十億年も前に創造された人々についても私たちが研究すべきであると言っておられるのです。
「そのようなことを何のために学ぶのか」と問われたことがあります。過去のさまざまな世代/時代について研究する必要性については別の機会に説明したいと思いますが、過去のさまざまな祖先とその世代/時代の人々にはそれぞれ、神様が備えてくださった賜物があったので、現代の私たちもそれらを明らかにして活用するべきであるということだけはお伝えしたいと思います。例えば、彼らには、私たちの世代/時代の知らない能力や技術がありました。私たちが最も技術革新を遂げた世代/時代であると考えられてきましたが、それは誤りです。考古学的発見の数々が、私たちよりも洗練された技術が過去数十億年の間に存在したことを証明しつつあります。
ペテロもまた、天地創造から過去数十億年の間に生きた父祖たちについて語っています。
こう言います。「彼の来臨の約束はどこにあるのか。父たちが眠りについた後も、すべてが創造のはじめ(アルケーG746)からのままではないか。」(ペテロの手紙第二3章4節)
この節でペテロは、アダムより前の時代までさかのぼった父祖たち(エバの夫アダム以前に創造された人類)について語っていたのです。これまで、エバの夫アダムの創造は「時」の始めのことであったと誤って認識してきた人々は当然、この節はアダムが創造された後の時代を生きた父祖たちを指すと解釈していることでしょう。
しかし、この「父祖たち」には、アダム以前の人々、つまり、この世界の始めの「アルケー」の時から存在した人々が含まれているのです。「アルケー」が数千年前ではなく数十億年もの昔のことであることは、ここまで学んだ皆さんにはお分かりのはずです。
ペテロはこの箇所で、主イエス様によって養われた使徒たちが、アダム以前に存在したさまざま人類に関して幾つもの知識があったことを私たちに示しているのです。
そのみことばのゆえに、当時の世界は水におおわれて滅びました。(ペテロの手紙第二3章6節)
しかし、今ある天と地は、同じみことばによって、火で焼かれるために取っておかれ、不敬虔な者たちのさばきと滅びの日まで保たれているのです(同7節)
ペテロは、私たちの前の世代/時代は大洪水によって滅ぼされた一方、私たちの世代/時代は火によって滅ぼされる定めにあると述べています。
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